蓮実とおなじこというな(笑)
まあ一理あるんだが、『夕暮まで』大ブレイク後、恒例としての反吉行・やっかみキャンペーンが吉行を身近に知らない作家・文化人らによって展開された。あなたの反論はそん中にあとかたもなく吸収される
ではなぜ「吉行神話」なのか。「自然体」吉行を買いかぶる周囲の過剰な人気は何に由来するのか。それはやはり人間としての豊かすぎる魅力からというしかない
編集者、新人作家のほとんどが吉行に会うとやられてしまう。野坂がこれを「吉行ショック」と名づけた。麻雀仲間の黒鉄、陽水などはメロメロだ
無名時代から卓ごしに吉行を観察していた色川武大さえも一番尊敬する人と公言した。
おれは吉行の声をラジオで聞いただけだが、実は、吉行過剰人気の正体をさぐろうとけっこう懐疑的に耳を傾けた。テープで何度も検証した
その結果、やられかけてしまった(笑)
味のある渋声、感情の襞が不思議にわかる繊細な抑揚、受身でありながらインタビュアーへの気遣いがうかがえ、いっぽう愉快な無頓着さも感じられた
人に魅了されることは珍しいことじゃない、おれも身近にそんな先輩を持つ


なお川村の意見は単なる前ふりで、危険な素材へあえて手をだしてしまう性癖という本質論である。