(略)「みっちゃんみちみち」の歌詞を文学の視点から分析した人物が存在した。
国文学者林望氏。彼は著書「古今黄金譚〜古典の中の糞尿物語〜」(平凡社新書、1999)の序章において、「天下の傑作」と称してこの歌を取り上げている。
「みっちゃん/みちみち」と「み」が連続する頭韻的効果に加えて「道々」と「ミチミチ(擬音)」の掛詞の巧妙さ、さらに「うんこたれて/手で拭いて/なめちゃった」という脚韻的効果、
「紙がないから→手で拭く」、「もったいないから→なめる」という対句の面白さも兼ね備えていると氏は指摘する。
また「もったいないからなめる」という行為に関しては、フロイトの肛門期理論による食糞行動の心理分析的アプローチもさることながら、日本人が古来より糞尿を「汚らわしいもの」という認識と同時に
「恵みをもたらす神聖なもの」とみなす農耕信仰的価値観をもっていたことが関係しているのではと考察している。

(「みっちゃんの謎」より)