>>92
「露團〃」「雪紛〃」は、岩波の新版露伴全集七巻、小説七に収められて
います。露は1〜144ページ、雪は145〜334ページ。80年代以後にできた
新しい町の図書館はわかりませんが、それ以前にあったところならたいてい
所蔵しているベストセラーですから、とりよせなどで借りられると思います。
固有名詞にはカナ、発音を指定したい語や慣用的当て字にはかながふって
あって読みやすいです。おすすめ。戦後岩波のふりがな増強がよく作用した例。
この直後、新書判寅彦選集のように全面新かなづかいにされる恐怖の展開や、
鴎外選集や茂吉選集のようにルビがほとんどなく地名にさえカナがないような
フテクサレ編集のものがワラワラ発生したのですが、露伴全集はすべりこみ
セーフ。作品の傾向に応じて総ルビ、一部ふりがななどが施されています。

私は持っていないのですが30年版の旧版全集では第四巻に入ってます。
こっちは、私も読んだのがコドモ時代でしたので記憶が曖昧なのですが、
ふりがなが新版より少なかったように憶えています。辞書を引いても
わからなくて泣きながら読んだ記憶がある♪露伴の本は古いほうが総ルビ率が
高い傾向にあるのですが、この旧版はちょっと作りがインテリ向きなんでしょう。
ネットで調べたら、前世紀に岩波から篠田一士編「露伴小説」という
アンソロジーの一巻にも入っているようです。これは図書館で背表紙を
見ただけで手に取ったことがないのでわかりませんが、
同時期に出ました石川淳編「露伴随筆」は、かなりふりがなが少なくて
(うわ、このジジイほんとに意地が悪いなあ…)と思ったほどでしたので、
或はこちらも読みづらい作りかもしれませんね、想像だけど。

どちらも当時の小説としては少し量が多めなせいでしょう、よくある
「にほんのぶんごうだいずかん」シリーズみたいなやつには、露も雪も
入っていませんよね。私も見たことがないです。

とまれ、今から読むなら新版全集を探すことを私はお奨めします。タマが多い。
何かで見たのですが、岩波の70年代の全集の中では、驚くほど売れたものの
ようです。全国の中学高校図書室も買いまくったらしい。おかげでこんにち
古本もたいへん探しやすくなっています♪