>>56
小林は取説を読んだ範囲の論を書いた。それはそれで面白い、と言うだけの話。
ロシア文学の専門家が論文を書くときに、小林の引用を、ここが大切だが、学問的に引用するか、
それが問題だな。
小林は名の売れた人物だから、と言うだけで引用するとしたら、その学者は三流だな。

外国語を知らないでなんだかんだ言えるのは、日本が翻訳天国だから、ってだけの話。

我が輩は猫である、私は猫だ、猫です私は、とまあ、日本語をならべて、これらを同じだ、
と強弁するなら、まあしょうがないと言うしかないな。取説読みすれば、要するに同じことだし。

翻訳者も問題がないわけじゃない。野崎先生のスタンダールの新譯がこっぴどく指摘されていた
けれど、ありゃ指摘が正しい。原作に極力忠実で、しかも原作が持つ雰囲気を、たとえ独善的な
解釈であっても、近づけようとするのが、まともな翻訳だろう。
限度を超えたデフォルメは、原作に対して無礼だし、そんなことをするくらいなら、赤と黒に
触発された創作物、とでも書けばよかったんだよ。