浪曲は聞いたことがないけれど、
「親兄弟…」を聞いてあああれか、と思うなら、それは角兵衛を見たからだろう。

猫にはそのまんま引用されているから、「親兄弟…、とある以上は」と書かれて入れば、
ああ、なんらかの、周知されている、そういうフレーズが存在するのね、
ってことまでは、日本語が読めればわかるはず。
それで一応文字面の理解はできているわけだから、猫を読んだと言えるだろう。

歌舞伎や浄瑠璃の趣味がなくても、猫は楽しめるけれど、知っていると理解の巾が広がる(かも知れない。
助六を見た事があれば、駒子の台詞もああ、あれかと思うのと一緒だ。

伝統文化に接すると、外国もそうかも知れないけれど、奥行きや深みを感じざるを得ない。
だから伝統文化、特に日本の文化は多岐にわたっていて、すばらしいものがある。

まあ、漱石と同じ素養がなければ、以上のような意味で作品に肉薄できるはずもないわけだから、
学問とか向上って意味では、永遠に勉強だね。