文学理論 10 [無断転載禁止]©2ch.net
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0001吾輩は名無しである
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2016/10/15(土) 10:43:02.72ID:52u1ZxOn
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※入門書
テリー・イーグルトン 『文学とは何か―現代批評理論への招待』
田辺保〔ほか〕編   『文芸批評を学ぶ人のために』
ジョナサン・カラー  『文学理論』
ラマーン・セルデン 『ガイドブック現代文学理論』
ピーター・バリー 『文学理論講義』

フランク・レントリッキア、トマス・マクローリン『現代批評理論―22の基本概念』
フランク・レントリッキ、トマス・マクローリン『続:現代批評理論―+6の基本概念』
フランク・レントリッキア『ニュー・クリティシズム以後の批評理論』上下

廣野由美子 『批評理論入門』
西田谷洋 『学びのエクササイズ文学理論』
0949吾輩は名無しである
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2018/01/08(月) 08:18:19.58ID:qs3KVdty
Kidd and Castano (2013) is an important study to replicate because it was often cited in the popular press, as noted above, and thus may begin to be accepted as conventional wisdom.
彼があげたサイエンスの論文はこのように、「ポピュラープレス」で頻繁に引用され、既に確立された知識と扱われることすらある、だから再実験が必要

なんでこんなにポピュラーになったかと言えば、権威あるサイエンスに載ったからで、その売りは二つ
「文学作品の抜粋」を読むだけで、当日検査した社会心理テストの結果が上がる
これは「ノンフィクションでも大衆小説でも見られない」
この二つがなくてはサイエンスには載らないし、注目されることもなかった

でも、本当に抜粋を一回読むだけで一時的に向上するなんてことが言えるのか?
これは文学作品をたくさん読んできた人間が大衆小説をたくさん読んできた人に比べて社会能力が高いと言うこととも違う
サンプルサイズも非常に少ないけれど事実であれば非常に論争的だから「サイエンス」に取り上げられた

だからサンプルサイズを増やして再実験(replicate)がたくさん組まれた(サイエンスに載った論文だから、再現実験だけでも研究費が下りる)
その結果、抜粋を読んで一時的にテストの点数が上がると言う結果はほぼ否定された
「文学作品」と「人気小説」の区別もあいまいで、このような手法も否定され、実験と同じ作品を用いても再現性は示されなかった
結局のところ、読者がどれだけ作品に没入していたかがかろうじて心理テストの結果を挙げる可能性が指摘されたが、もと論文ではその評価もしていなかった
少ないサンプルなので、没入する読者が「文学側で多ければ説明がつく程度」

少なくとも当初華々しくメジャーなマスコミで宣伝されたような劇的な力を「文学」が持っていることは否定された
問題は、サイエンスはその後この論文に関する続報なんて出さないし、マスコミにいたってはもちろん出さない
2018年になってもこの論文の名前を出して「文学と大衆小説の研究もされている」と信じている人はいる

日本が二十年遅れているんじゃなくて、再現実験は日本でもやられていて、再現できていないから話題にならない
そんな死んだ知識をたくさん抱えている可能性に自分で気づいてくれるきっかけになるといい
0950吾輩は名無しである
垢版 |
2018/01/08(月) 08:31:53.65ID:qs3KVdty
フランコ・モレッティが論争を巻き起こしたとき、彼は自分の手法は論争的で、非常に貧しいものであることを熟知していた
しかしそれは貧しいけれども実りがあると信じていたから
実際に、論争は広がり、さまざまな波及を伴っている
彼が依拠した柄谷行人などが間違っていたらどうするのですか、と質問されて「それは仕方ない」と答えている
別の国の批評家が文学作品から抽出した構造を、さらに集め、そこに構造を見出すという二次・三次情報を時間・空間的に並べて見せると言う手法はコーパス研究からもよく受け継がれている

そのためには、手法をきちんとわきまえなくてはならないし、その限界・弱点を知ることが重要
認知科学や脳科学も、そもそもどのような条件での成果なのか、敷衍していいのか、「敷衍してはいけない情報がじつはたくさんある」ことを知らなくてはならない
ソーカル事件よりももっとひどい、単に文系学者が理系っぽいことを知識もなく振り回しているだけのことが多い
認知科学の講義では、たくさん面白いした話をしたあとに、その地道な反証についても触れているものだ
出版されるのは華々しいお話だけ、なんてことがあったりする

自分が面白いと思った話には批判的な視点を向けることを忘れないこと
自分が評価できないかもしれない話を安易に信じないこと
0951吾輩は名無しである
垢版 |
2018/01/08(月) 08:39:38.32ID:qs3KVdty
モレッティは攻撃しようとすればいくらでも攻撃されうるし、実際されている
ナボコフ研究者が去年翻訳しているけれど、ナボコフのオネーギン注釈と同じ問題意識をもっている

たとえば、その考え方をジョン・ミルトンの仮面劇「コウマス」に適応してみるとどうなるだろうか?
モレッティが取り出した世界システムにおける中心と辺境と亜辺境における非対称的な形式とテーマの流入と既成の形式との混淆
どこから仮面劇という形式が取り入れられ、それが特殊な時代背景によって変形を受ける
テーマが流入し、個人の事情に基づいて変形を受ける
流入もとの形式が翻訳されたときに言語固有の制約によって異なる韻律が生まれる
「失楽園」は脚韻を排除されて作られているが、同時代にホメロスを英語で高らかに謳いあげる韻律を作り出したポウプとは異なる技法を選択している
モレッティの「波」に当たる連続的な影響の伝播と「枝分かれ」に当たる断絶はパターン化しうるか?
「Samson Agonisties」との比較はどうか?サミュエル・バトラーの劇詩における、ポウプの高尚な韻律をmockするカプレットとの連続と断絶は?
同じ対句でアイアンブであるのに五歩格と四歩格でかくも調子が変わり、さらにrhymeの踏み方によっても
技巧の限りを尽くすポウプに対し、わざとありふれた韻や無理やりな韻を踏むバトラーと、韻を踏むことで叙事詩が不自由になるとして韻律を排除する「失楽園」は共通の意識がある
詩神ホメロスを崇拝し、可能な限りの技巧を尽くすポウプ、戯英雄詩ゆえに英雄詩の形式を守りながら窮屈に韻をふむバトラー、
神やアダムという自分をはるかに超えるがゆえに、自らの韻の出来によって偉大さが損なわれることを懸念するミルトン

彼らには叙事詩という偉大なテーマにはそれに見合う形式を一致させるという課題に、翻訳、パロディ、創作という三つのジャンルにおいて立ち向かっている
波は英雄詩を新たに必要とする時代であり、枝分かれは彼らの「英語は英雄詩を書きうるのか?」という目的意識となる

そしてこのテーマはほかの国においても成立する
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