0795吾輩は名無しである
2017/09/05(火) 23:57:33.29ID:gMWq4lAn心理描写の上手さには驚くしかない。また風景描写も巧いんだこれが。
夜逃げ直前まで在籍した小学校に父親が犯した事件以降、テレビ取材で久しぶりに訪う小品がある。タイトルはネタバレ
になるから遠慮する。
で、その中で教室かなにかの窓辺で煙草を吸うシーンがある。眼前に今では数少なくなったがそれでも残っている、江戸
川区の初夏の田園風景が広がっている。たった4〜5行で書き流されているけど、みごと自身の葛藤と、しかし忘れ得
ない光景の思い出が重なっているシーン。どちらかといえば硬質な文体なのだが、読み手に映像として提示させてくれて
いる。巧いものだとつくづく感心した。今の作家であれほどの技巧をもった人はいないと思う。