苦悩ねえ

陽の落ちた公園の小径の少し先のところで、暗がりのなか、一人の若い男がベンチにただひとり座っている。
黒いジャージの上下を着、自分の上に覆いかぶさっている小さな緑色の葉をつけた樹木の下に腰をおろし、彼は片方の手を体から離し、掌をベンチの上にぴったりとくっつけ、木製の座部の縁に沿って指を折り曲げている。
もう一方の右手で自分の顎を支え、上体を前にのめらせ、頭を下げて、青いジョギングシューズの前の銀色の砂を、ただじいっと、虚ろに見つめている。

まあ、そういうことならあるわな