「世界の起源について」
Now, the word, who is more exalted than anyone, was sent for this work only, to announce what is unknown.
He said, “There is nothing hidden that will not appear, and what was unknown will be known.”
今や、何者よりも卓越したロゴスが、「知られざること」を伝えるそのためだけに遣わされた。
ロゴスは言った。「隠されているもので現れないものは存在しない、知られていないものは知られることになるだろう」

このような全知のロゴス(ホロ・ロゴス)が受肉したことを「復活」よりもはるかに高く評価し、理解できないものを「隠されている」から理解できないのだ、とする知的エリートを引き付ける一見合理的なキリスト論
これは、哲学者ユスティノスが非ユダヤ教の哲学的知識を持った支配者にキリスト教を「こわくない、安全な宗教ですよ」と提示した時代に一致する
一方で、この何でも知っているらしいイエスが、いつ神になったのか、そもそも人なのか、全知の神が実際に苦しむという神の属性にない状態に陥ったのか
イエスは生まれる前から全知だったのか、受胎して全知となったのか、洗礼を受けてただの人が神の子となったのかで教義論争が起こり始めるのはさらに1世紀後

Q資料はこういう時代でなくて、ユダヤの反乱前に作られた非哲学的なイエスの教えを伝えるものなので、ロゴスの受肉がQ資料だと言われるとロゴス論の発展史を無視しすぎていて違和感が強い