2018.9.6
セクハラ・パワハラが日本企業から消えない原因は「おっさん支配」
澤 円:日本マイクロソフト 業務執行役員、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長

また、日本では1年違えば先輩として振る舞ってもよいという謎の風習が学生時代からあります。
そこには、「尊敬されるように振る舞う」という年長者のトレーニングはほとんどなされずに、
「年次が下の人には横柄に振る舞って構わない」という非常に一方的な論理がまかり通っています。

そして、学生時代の先輩・後輩の間では「呼び方」でも独特な慣習があり、
年次が下の人は上の人に対して名前に「先輩」をつけて呼び、後輩は当然のように呼び捨てされています。
これが会社に入ると、今度は役職をつけて呼ばなくてはならないというルールとして受け継がれます。

このように「呼び方」は連日繰り返されることでどんどん意識に浸透していき、
上下関係が自然と完成されていきます。
問題は、「人の上に立つ」というトレーニングを十分に受けていない人間も、
「課長」や「部長」と呼ばれることによって万能感を持ってしまい、
役職が下の人間に対して横柄に振る舞うということに何の疑問を抱かなくなってきます。
役職が下の人間も「あの人は自分よりも上の人だから…」ということで、
大抵のことを受け入れようとしてしまいます。

グローバル仕事人ならば、この慣習にこそ疑問を持たなくてはなりません。
年次が上であることや役職が上位であることと、人として横柄に振舞っていいことには相関関係はありません。
こうした日本的な慣習こそ、私はハラスメントに直結すると思っています。

もちろん、全ての会社や全ての社員にあてはまることではありません。
ただ、助長する可能性は高いと思っています。実際に私自身も、
企業に勤めていて役割として組織の長のポジションを与えられているだけであるにもかかわらず、
部下に対して全てにおいて自分が優れているかのような言動をする人、
人格的な部分まで踏み込んで攻撃する人を何人も見てきました。