よく言われるのは冒頭の、夜の底が白くなった、と言うところ。
ここで言う夜はローカル、つまりこの辺だけの、限定された夜。
雪が降り積もって地面が白い、そんな夜。
それはその三次元の空間が容器であることを想像させる。
だから底がある。その底が白くなったわけだ。
この妄想をより一般化させるためには、容器を取り去ればよい。
ローカルの限定も取り去る。
そこで初めて、この短文をもう一度読むと、もろもろが捨象されたものが見えるだろう。
みたいなことを連想させる箇所がいたるところに転がっている。
切れ味の鋭いナイフみたいな日本語の印象も捨てがたい。
まあ名作だな。