4、初転法輪

 釈尊は、ベナレスの鹿の園で初めての説教をした。
 釈尊は真理を悟ったといった。
 それは、以下のことである。

 一切の形成されたものは無常である。(諸行無常)
 一切の形成されたものは苦である。(一切皆苦)
 一切の形成されたものは我ならざるものである。(諸法無我)

 真似をすれば、みんな悟って覚者になれるといった。

  5、乞食の王

 釈尊は、祇園精舎(慈悲と施しを与える園)で乞食の王となった。
 諸国の王たちに戦争について相談を受けて作戦を与えた。
 戦えば負けるのになぜか国が豊かになる謎の司令官であった。
 釈尊の国は、無勝荘厳国として繁栄した。

注:「無勝荘厳国」とは、プラトンのいう「正しいものは損をして、不正なものが得をする」という哲学の反駁であり、勝つことなく幸せになる聖者の道である。

  6、平等

 ある王さまの軍が負けそうになった。
 負けそうな王さまは、釈尊に作戦の助言を求めた。
 釈尊はいった。
「今からいちばん簡単な作戦を授けるよ。あなたの国の兵士はみんな平等だ。司令官も参謀も幹部も一兵卒もみんな平等だ。みんな平等に適当に相談して戦うぞ。実は、戦争とはそうするだけでたいてい勝てるんだ」
 そして、策を授かった王さまの軍は敵を打ち破った。
「平等にするだけで勝てる戦いなのに、不平等にして戦って負ける作戦を、平等以下の作戦というんだ。」
 その国は、以後、平等の国といわれるようになった。