オンディーネもよいのだが、インゲボルク・バッハマンのUndine gehtは必読である。
人間に絶望したウンディーネは集合名詞としての人類ハンス(オンディーネの主人公の名だ)を糾弾する。

あんたたち人間という輩は!
あんたたちは怪物だ!

ベルタルダは魂を持つにもかかわらず、seelenlosと疑われ、騎士はウンディーネよりも善いSeeleを持ち得ない。
幸福の為には必要でないにも関わらず、魂を求める為に人間に愛されることを娘に命令する水の中のクリスタルパレスの王。
人間よりも愛を求めるケモノは、人類を去っていく。
それはホロコーストを経たバッハマンが、人類には魂を求めることができない時代を書いたことにつながる。

And now someone is walking up above and hates water and hates green and does not understand, will never understand.
As I have never understood.
Almost mute, almost still hearing the call.
Come. Just once. Come.

水と緑を憎悪し、理解しようとしない何物かが現れる。
ほとんど沈黙のなかに、微かな呼び声だけがきこえる。