南孝典

『フッサールとカント』1
(1964 年)の中でイゾ・ケルンは、フッサールの『ヨー
ロッパ諸学の危機と超越論的現象学』(以下『危機』)(1937 年)におけるカント哲学
への親密な関係を顧慮するならば、また未完の著作である『危機』がその予告どお
りに完成されていたならば、この最晩年の作品が、「『カント的省察』」(HK, S. 50)と
呼ばれ得るようなものになっていたかもしれないと指摘している。