古川真人 @frkw_mkt
旗原理沙子「私は無人島」(『文學界』5月号)一体なにがこの主人公を衝き動かしているのか、
見定めつつ読みだしている。占い(心-なう?)ということばのもつ、能動と受動の相俟ったさまが
ヒントになるだろうか。なお冒頭に近い箇所、〈したたかに〉(p.13)勃り起つ物が描写されるのには面食らった。

読み終える。
ファック家父長制かつプロチョイスであり、みずからの身体を何者にも領されないことへの祈りみたような小説だった
――という読解の表面をなぞることもできるが、「家庭の幸福」への意志を最後まで捨てない未希に興味が向いた。

読みすすむにつれて主人公の動機はわかった。「忌み子」意識を内面化した者の、
生き延びてしまったという(親から受け継いだ)世界に対するサヴァイバーとしての罪悪感。痛ましいが、
最後に非-侵犯の身体の象徴として〈無人島〉と自己を重ね合わせるというのは、でも、どうなんだろう。

どうなんだろうというのは、この終わり方では世界との疎隔を強くするばかりではないかと思ったのでした。