俺は上空に向けて、魔法の弓を引く構えを取った。
 風で矢と弓を作り、それを虚空に向けて放つ。

 一筋の風が上空に打ち上がったかと思えば、それは天空で無数の矢に分離する。
 そして風の雨が地上に降り注ぎ、馬車の積荷――娼婦奴隷の女の子たちを狙っていた野盗たちに、ことごとく突き刺さった。

「ぐあっ!」
「うぎゃあ!」
「がはっ……!」

 至る所で野盗たちの悲鳴が上がり、血しぶきが上がった。

「魔法だって……!?」
「こんなレベルの高い魔法を使うには、相当の魔石が必要じゃねえのか!」
「いや、こいつ、精霊だ。精霊魔法だっ!」

 精霊魔法という失われた力で攻撃された野盗たちは、それを知るとパニックを起こした。

「護衛に精霊魔法使いがいるなんて聞いてねぇぞ!?」
「こいつ……フランだ! 世界で一人だけ精霊に愛された、あの卑怯者の大賢者だよ!」
「精霊魔法を相手に勝てるわけねぇ! お前ら、退くぞ!」

 そうして野盗たちは散り散りになって去っていった。


迫真のラスボス戦