これって、ジルはどこまで本気だったんだろう?
何も考えてないようで真剣に考えてたり、本当に何も考えて無くても豪運でなんとかなったり
わけのわからん生き物だからなあ



 しかし、本妻は異母兄の補佐をする私が気に入らなかったようで、父の死後、私はあからさまに排斥され始めた。
権力に群がる大人達は本妻の意見に賛同し、実の母親は当てにならず、身の危険を感じ始めた頃、異母兄が神殿に入ることを勧めてくれたのだ。

 神殿に入ることは貴族社会から見ると、政治の世界から抜けると宣言することに他ならない。
けれど、神殿もまた魔力を使い、神事を行うため、政治の世界とは密接な関係を持っている。
そして、神殿の上位は貴族出身の神官や巫女が占めており、その位は実家の地位による階級社会である。
 異母兄は私に神殿を掌握するように、と笑いながら命じた。
今の神殿長は本妻の実家に連なる者で、態度も大きく厄介な相手なのに、簡単に言ってくれるものだ、と肩を竦めながら、私は神殿に入った。