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[魔導鋼神物語 〜だが、俺は噛ませ犬に転生した!〜]感想

(好感度)
・文章が軽く、読みやすい。
・章ごとで新たに提示する情報量が適度で覚えやすい(何気に重要)。
→いずれも技術的に高くなれるポテンシャルを感じます(高いと言えないのは以下の誤字等のため)。

(難点)
・主人公に際立った個性がない。
→これ、致命的かもしれません。もし、異世界に飛ばされて巻き込まれる話だったら、この主人公でもOKでしょう。
→でも、御作では主人公が「5歳でスタートし、15歳での死亡を回避、他のキャラの悲劇も回避」という重大ミッションがあります。
→ミッションを背負うに足る個性がないと、主人公の行動に必然性が感じられず、逆に操り人形のようですらあります。
(操り人形:作者のアイデアを実演するためだけに存在している、人間味のないキャラクター)

・異世界での予言に等しい、元の世界のロボットアニメの内容情報が不足。
→あるロボットアニメそっくりの世界に精神が異世界転移したのはいいアイデアです。
→しかし、ネタバレ・先読み防止してハラハラしてもらうためかもしれませんが、ロボットアニメの内容が十分には提示されていません。
→ですので、読者はついていけません。主人公がアニメと異世界のどんな一致、齟齬に一喜一憂しているか、ほとんど分からないからです。
(例えば、ミレーヌ。アニメでこういうキャラなのに、という描写が何度もあるけど、アニメでのキャラが見えないので、主人公の感じる違和感が分からない、)
→つまり、作者さんだけに各シーンがよく見えていて、ハラハラできるストーリー進行になってしまっています。
→このことは、主人公が操り人形であること、かなりのん気に描写されていることも、大きく悪影響しています。

(年齢)主人公の精神年齢は20代ですが、身体はスタート時で5歳、メインストーリーで10歳のはず(読み落としたとしても、設定的に15歳以下のはず)。
→同世代(10歳前後)と思しきミレーヌ(メインヒロイン?)の身体描写に相当の違和感があります。
→ロボットアニメでの妖艶なグラマラス美女と10歳女児比べるのは、いかにもおかしな感じがするということです。
(例えば、妖艶な美女に成長する兆候が云々と主人公が言うのは、どうも現実味がない。10歳だとまだ可愛いもんだ、などなら少しは分かりますが。)
→それとも、ミレーヌは主人公に対してかなり年長でしょうか? そういう描写は気が付きませんでしたし、会話も同世代的です。
→正直、設定年齢を作者さんご自身が忘れて、高校生くらいの感じで描いているのではないかと邪推したくなりました。

・誤字・脱字、さらに文単位で抜けがあったりする(例えば九話の以下の部分)。
01> 「あの、ミレーヌ……様? 話を折るようですが、一つ質問したいことが?」
02> 「何かしら? えぇと」
03> 「オウギュスト、オウギュスト・ダールトンと申します。グラストークより留学に来たものです」
04> 「そう、では答えましょうオウギュスト・ダールトン。私、今日からこの学院に転入することになったのよ。この答えでよろしいですか?」
→01で主人公が質問の許可を求め、03で名乗る。するとヒロインが04で、まだ問われていない質問に答えています。
→一瞬、ヒロインが異能で主人公の考えを読み取れる描写なのかと思いました。しかし読み進めても、この後、そのようなシーンはありません。
→ようやく、「九話の会話は主人公の台詞が抜けていたのか」と思いました。
→物凄くイメージがブレます。読者は事前知識なしですから、描写は間違いがなく、意味があると作者を信頼して読み取ります。
→こういうミスがあると、小説本文に対する信頼自体が揺らいでしまいます。読み進めたとしても、用心しながらになります。
→そうなると、作品に没入することができません。感情移入や共感も生じにくくなります。

→誤字・脱字の中にはタイプミスではなく、用法自体を間違えているらしきものもありました。

(各話ごとの感想は割愛。話ごとの起伏もあまりありませんし。)