>>897
激甘とのご要望ですので、難点などの指摘について、出来うる限り配慮いたしましたが、もし「これでもきつい」とお思いでしたら、すぐに読むのをやめてください。

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作者さんは女性か、女性的な感性をお持ちのようです。親しい女性同士でのガールズトークのような文章になっています。
ガールズトークの特徴は、とりあえず目についたことや連想で展開していく、悪く言えばとりとめがないということになります。
そのため、状況や内容を把握しようとすると(※ これは論理的な作業です)、なかなか分かりづらいものになっています。
もちろん、その反面として感情に訴える、雰囲気重視になり得る文章でもあります(ただ、うまくいったとまでは言えない)。

キャラ配置は、ヒロインと、ヒロインをひたすら大切にする男性がメインキャラとなっており、これも女性向けの感じですね。
ただ、人称が変わるのは頂けません。第一章(ヒトではない者〜)では、奉仕男性の一人称、第二章(彼は怪異ですが〜)からヒロイン一人称。
地の文での自称が「僕」「わたし」と使い分けてあるとはいえ、第二章を読み始めると、相当混乱します。
正直、全く別の話が始まった、するとこれはオムニバスか、第一章のオチはなんだったんだろう、等々と思いました。

「防人」「座敷童」等の第一章から引き継がれた名詞は出てきますが、そのテーマのオムニバスだとすれば、充分あり得る。
第三章まで読んで、人称が入れ替わったものの一つのつながった話であると、ようやく確信できました。
それまでは何がどうなっているのか不安なまま、いつどういうことなのか分かるだろうと思いつつ読み進めたわけです。正直、これはつらいです。
最終章でまた奉仕男性の一人称にしてありますね。非常に感傷的、情動的に語って締めくくっています。
ここが欲しいから第一章があるのでしょうか。だとしても、第一章は浮いています。第二章から始めても成立する物語ですから。

第二章からですが、読んでいてその半ば以降、ラストまでほぼ上の空になってしまします。だって飛び降り自殺やっちゃってますから。
構成として、劇的なイベントで始めて、その決着をラストでということでしょう。ある種のセオリー通りといえます。
しかし崖から飛び降り自殺の最中だったわけです。読んでいて「このヒロインは死ぬの? 助かるの?」に注意が行ってしまいます。
しかし、わざと気を持たせるかのように、延々と自殺より前の別の話が延々と続いてしまうわけです。

作者さんは第二章冒頭で、読者に「このヒロインは死ぬの? 助かるの?」という、キャラ最大の刺激を与えたのですから、それ以下の刺激には注意はいきません。
第二章後半以降のイベントに注意を集中できるのは作者さんだけです。イベント配置的な構成として、残念ながら失敗だったと言わざるを得ません。

文章的にも、作者さんが考えている出来事やキャラ、脳内で見ているイメージを、作品世界を全く知らない読者に見せるようになっていません。
例えば、第二章。

>  ちなみに彼は父とも母とも何の縁もゆかりもないし、なんと知人ですらない。
>  ちなみに早羅さんはお化けでも、わたしの妄想でもない。

「ちなみに」は本筋から少し離れたことを言うときの便利な常套句です。「ついでに言うと」ということですね。
小説で使うと、説明に必要な情報だけど、どこで言っていいか分からなくなったときの言い訳になります。
なぜ言い訳してしまうか。説明の組み立てが間違っているからです。おそらく、雑談的な文章になってしまっているからでしょう。
(他にもいろいろありますが、これ以上は平易に説明してもきつくお感じになるかもしれないので割愛します)。