最近の「あり得ない」が気持ち悪い。
今、目の前を歩いてる変な髪形の人を指さして「あんな髪形、アリエナーイ」とか。
いや、現にそこに「あり得てる」だろうがと。

「あり得ない」というのは、自分の考えや確率の低さなどに関係なく、
「100%起こらない。少なくとも俺はそう確信している。それを見たことも聞いたこともない」
というものであって、どんな低確率でも、現に起こったならそれは「あり得ない」の範疇から出る。

例えば脱線事故で、多くの犠牲者が出たその現場に、その鉄道会社の社長が来て、
「わが社の安全管理は完璧。事故などあり得ない」
と言ったらどうなるか。

遺族「あり得ない、だと? 実際に事故が起こってるだろうが!」
社長「いや、「常識的に考えればあり得ない」の略とでも言うか……」
遺族「常識も非常識も関係ない! 実際に起こってることに対して、あり得ないなんて言うな!」

最初に挙げた、髪形を指さして「アリエナーイ」の人は、
この社長と同じことを言ってるわけで、もし現場にいたら社長の味方だ。
俺は遺族の方が正しいと思う。