0177この名無しがすごい!
2017/12/20(水) 16:07:48.62ID:cAt5P6BH【クリスマス会キャロル】(1/3)
両足を揃えて雪面に着地する。脛まで雪に刺さり、しかしバランスを崩し尻餅をついた。
「勇也! 次オレ行くぞ!」
「勉! まて! まだ俺、居るから!!」
雪が降った後、その新雪に足跡を残したくなるのは最早、人の本能かもしれない。
その例に漏れず、二人はどちらが遠くまで飛んで足跡を残せるかの競争をしていた。
最初に飛んで、足の抜けなくなった大森 勇也が、その足を抜こうとしている所に、大西 勉は突っ込んで来る様に飛び込む。
それは丁度、フライングボディーアタックの様な形で勇也を襲った。
(あ、俺終了のお知らせ)
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「あんた達、バカァ?」
「うるさいよ! 俺は待てって言ったんだ!」
「勇也ぁ、ゴメンよぉ〜!!」
勉のアタックでぶっ倒れた勇也は、大川 小凪に膝枕をされながら横に成っていた。小凪は何が嬉しいのか、勇也の頭を撫でながら、ニコニコしている。
それを呆れた様な目で見ているのは宮内 博子。通称ハカセ。
その隣では勉が大きな体を縮こまらせ土下座を敢行していた。
「問題はクリスマス会ですね」
そう言って、加賀 清が読んでいた文庫本をパタリと閉じた。
「捻挫?」
「ああ」
笹川 美亜の問いに、ブスッとした顔で勇也が自分の足を見る。足はパンパンに腫れていて、クリスマス会のある土曜日迄には治りそうもなかった。
クリスマス会では全クラスの生徒が出し物をしなくては成らない。
勇也達のクラスは演劇を予定していたのだが、彼がこの状態では、演技も儘ならないだろう。