使用お題:『ロマンチック』

【ロマン闘士】(1/2)


「キサマに恋愛相談をしてやろう」

 コイツが浅はかで唐突なのは今さらだが、今回はさらに意味が分からない。
 いや、言葉は分かっている。恋愛相談? コイツが?

「えーっと、誰の?」
「もちろん、オレだ」

「………………あ、うん」

 一瞬、思考がとんだ。え? マジで?

「キサマにはどんな告白をすれば付き合えるか考えて貰う」
「いや、ちょっと待て、何故そうなった」
「キサマは小賢しいからな、そう言う事も思い付くだろう」

 どうしよう、協力したくない。でも断ったら、ネチネチネチネチ何時までも煩わしそうだしなぁ……
 俺は溜息を吐いて訊ねる。

「で? どういう人なんだ?」
「何がだ?」
「お前が告白するって相手」

 すると、俄かにコイツの顔が怒りに染まる。

「キサマ!! 彼女の情報を聞き出してどうするつもりだ!! まさか、キサマも彼女を狙うつもりか!!」
「相手の事も分からずに、どう作戦を考えろと言う!!」

 そう言うと、『ああ、成程』と言う顔に成るも「だが断る」と言いやがる。

「何で?」
「オレの話を聞けば、キサマが彼女に惚れるのは自明の理! ならば教えるなど愚の骨頂では無いか!!」

 うおお、殴りてぇ。

「なら、あれだ、大体の女性はロマンチックな事が好きだから、そんな感じですれば良いだろ」
「ロマンチック?」
「ロマンチックだ」
「…………」
「…………知らんのか?」
「ぬ! 知っておるわ!! ロマンな感じだろう? ……いや、あれだ、そんな事で本当に効果があるのか疑問に思っただけだ!!」

 訊いといてそれか!! 殴る! 絶対に殴る!!
 そう決意し、拳に息を吹きかけていると、コイツが「ロマンチックロマンチック」と呟きながら走って行ってしまう。
 ぐおお! 拳のやりどころが無くなった!!