>>326

キャラを描かずに、心情を延々と吐露する運びになっています。だから、興味を持っていいかどうか分からないキャラの愚痴を聞かされる感じです。
御作に登場するメインキャラは先輩と後輩ですが、性別をどこで明示してありますか? 少なくとも私にはかなり進んで、中盤辺りで「彼」と出てくるまで、後輩の性別は分かりませんでした。

主人公については、その後輩がつき合って欲しいと言い出すまで不明でした(後輩の当該発言時でも、確信はなかった)。
唯一、日記の主の「彼女」だけ、文字から女性と主人公が判断し、以降は呼び方も彼女ですので、日記の主だけは性別がが明確でした。
しかし、日記の主で姿を現さず(それが御作での根幹設定だから)、登場する主要キャラは性別からして不明。

性別は例に過ぎません。問題は作者さんが思い描いたキャラを読者に伝えることなく、作者さんのみで分かるように進めてしまっているのです。
作者さんからすれば、主人公の自分でも分からない面、自分でも分かる面での悩み等々、最初から分かっています。
だから、そういうキャラが動くだけでいいと感じられるでしょう。だけど、読者は全く知りません。白紙状態です。
キャラの魅力を伝えてくれると思ったら、どうやらキャラに魅力を感じた状態で読んでくれと言われたと感じる。
そんなことはできません。少なくとも第二部直前まで読み進んでから振り返らないと無理です。

しかし、そこまで至るにはキャラが動かず(悪夢では不足です)、悶々と思い悩むだけの盛り上がりのないシーンを延々と読み進めなければならない。
それに加えて(繰り返しますが)性別すら不詳のキャラです。曖昧にもほどがあります。
キャラがイメージできず、何の物語かも推測できずでは、読むモチベーションを著しく下げます。

読み進んでみたら、ありきたりの「気になる日記の主は自分だった」(類例は「世にも奇妙な物語」等で出尽くした感がある)。
徒な引き延ばし、視点キャラ変更で再演、文体の工夫等をしたからといって、手あかのついたものが新鮮にはなりません。
継ぎ接ぎ、継ぎ足しでは駄目です。もし「日記の主が自分」を活かすなら、アレンジ自体を大胆に変えないと無理ではないかと思います。
(ちょっと思いつかず申し訳ないのですが、掌編でスパっと落とすか、「日記の主は自分」を発端とするか、などでしょうか。)

文体も最初は落ち着いた語り口を狙ったのかと思ったのですが、どうやら様々なパターンを持っていらっしゃらないようです(「だろうか」多用の既出指摘等)。
字面的にさっと眺めても、じっくり読んでも盛り上がりもなく平板なのは、文体の多様性のなさも原因ではないかと思います。
(さっと眺めても、単語や語り口の変化等で、盛り下げ、山場等はおおよそつかめることが多い。)

冒頭の無意味文章(なぜか「六」で始まっている)は目が滑るだけです。もしメモの削除し忘れなら、不注意です。
文字数は8万9千字ほどあり(原稿用紙換算223枚)、Firefoxのリーダービューにかけると読むのに83〜105分となります。
一つのアイデアを巡って人間関係を描こうとしながら、その場その場の思い付き、ノリで進めては、この字数はちょっと辛い。
これだけの長さとなると、構成にもっと気を配ってください。でないと、何をテーマとする何の物語なのか把握が困難になります。