>>583
私も先日の富士見で一次落ちしたので大変興味深く読ませていただきました。
目線の高さや立ち位置は同じでも、見ている方向が違えば意見も違うだろうと思い感想を送らせていただきます。
飽くまで超個人的な感想であり、一次落ちした人間のものなので話し半分くらいに聞いてくださいな。

※文章・描写について
 既に指摘されていますが「不要な描写」や「不要な文章」が多く見られました。
>>その横の薄緑のカバーの布団がかかったベッドの上には何体かのぬいぐるみが置いてある。
>>全五段の本棚には、
 薄緑のカバーや全五段の〜は不要です。こうやって書いてしまうと深読みする読者は「何かの複線か?」と思ってしまいます。
 さしてストーリーに関わらず、重要(または必要)でない部分は「読者の想像」に任させちゃっていいと思います。
 何でもかんでも細かく描写しちゃうと読者も想像するので疲れちゃいますからね。
 
 それと、地の文がいささかクドいように思えます。たとえば
>>インプはそのまま青年の元いた場所を通り過ぎ、そしてそのまま青年が降りてきた階段に激突した。
「インプはそのまま青年が立っていた場所を通り過ぎ、階段に激突した」でいいと思います。
 一つの文の中に「青年」が二度も入っているのはバランスが悪い(クドい)ですし、かえって冗長になってしまい読むのに疲れます。

 あと、こういうのも悪手です。
>>血走ったように赤いそのモノの細長い眼を見ながら、
 ああ、インプの描写か。へえ、こういう容姿なんだ。
>>うすく脱色したような銀灰色の髪の青年は呟く
 インプの髪が銀灰? えっ、なんでいきなり「青年」? ああ、インプの描写と青年の描写を混ぜてるのか。あれ、インプってどんな容姿だったっけ? もっかい読み直そう。
 ……とまあ、こういうのが多いです。メインの描写の「ついで」に別の描写を入れてしまうと混乱します(少なくとも私は)。
 個人的には主人公の容姿は冒頭でさっさと描写してしまった方がいいと思います。読者が真っ先に意識してみる重要人物ですから、容姿がわかっていた方がシーンが想像しやすいはずですので。

※銀一について
 率直に好感が持てました。昨今は冷めた感じのオタク主人公が多いので、こういう風に美少女にデレデレしてしまうのは新鮮な感じです。
 古き良き青少年主人公って感じがしました。ただ、どんなシーンでも冷静さが先行しているように思えていて、見ていてあんましハラハラしませんでした。
 多分、台詞のせいですね。もっと「!」とか「ッ!」とか使って主人公の台詞に感情を出してほしかったです。

※雪姫について
 皆さんが仰っているように十分キャラが立っていたと思います。……ただ、申し訳ないですが個人的にこういうキャラは苦手です。
 好き嫌いという超個人的な理由なので気にしないでください。ですが、メインヒロインとしてもっと出番を多くし、色んな面を見せていただければ評価も変わったかもしれません。

※紫藤について
 彼が内通者だったのは意外でした。銀一の弟分的存在というイメージがあっただけに余計効果は抜群でした。
 ただ、助けを求めることはできなかったのかと思います。監視のための措置が盗聴器?だけだったので、これなら文章やら手紙やらで銀の十字架に事情を離せなかったのかなと。

※真帆について
 彼女がメインヒロインなんでしょうか?
 てっきり雪姫がヒロインだと思っていたので、真帆は「依頼人A」程度に考えていたので意外でした。
 真帆は「この物語のヒロイン」だと思いますが、「銀一のヒロイン(お相手)」ではないですね。
 私としてはヒロインに求めているのは後者(要は主人公とのカップリング)なので、真帆には好きも嫌いも持てませんでした。
 
※ムルムスについて
 実質的なラスボスですね。個人的に脳内で黒髪ロングのおねーさん(女騎士風)に変換しました。
 ただ、ラスボスとしては弱いですね……言ってしまえば「彼女がラスボスである理由も必要性もない」という感じです。
 富士見で大賞取ったロクアカやお母さんもラスボスはぽっと出でしたが、
「生徒から信頼の厚い教師だったけど組織の言いなりだった」「子供を愛せない母親」などなど、主人公とは対になる部分や似通った部分を持っています。
 ムルムスにはそれがありません。ただ出てきて、ただ殺されただけって感じです……