>>597の続きです。

※ストーリーについて
 コメディパートはとても楽しく読ませていただきました。クライマックス部分も一気にばーっと読んで、ドキワクしながら読んでしまいました。
 既に言われている通り、序盤〜中盤が非常に退屈でした。メインストーリーがラノベっぽくないと言うんでしょうか。昔の少年誌とかでありそうな話でした。
 またロクアカとお母さんを引き合いに出しますが、どちらもクライマックスは唐突で、メインストーリーは基本的にコメディです。その中にちょこっとだけラストへの伏線とかが入っている感じです。
 ラノベってそんな感じでいいと思います。読者を笑わせて楽しませる展開を主軸にし、ラストだけシリアスとか超よくあることですので。
 実際、>>583さんのラノベはコメディパートがとても笑えて楽しめました。シリアス部分を大幅に削ってこちらを主軸にすれば作品はグンと面白くなると思います。

 黒幕のソロモンについてですが、てっきりコイツがラスボスになると思っていたので決着がつかなかったのはかなり肩透かしでした。
 読後の感想としては「ラノベの第一巻」なんですよね、この作品は。だからソロモンと決着をつけなかったのかもしれませんが、新人賞でこれはかなりの悪手です。
「ラノベの第一巻」ではなく「一巻のみのラノベ」としてしっかり完結させなければいけない……と私は考えています。
 敵はすべて倒す、もしくは改心させる。伏線や謎はすべて回収する。その上で物語の結末に相応しいエンドにする。
 そうすることで「完結」になります。この物語は、黒幕は逃走、魔教は現存と「何一つ終わっていません」。
 市販のラノベの一巻では敵や謎が残っていたりしますが、これは「ラノベの第一巻」だからです。
 受賞後はどうせ書き直しさせられるので、すっぱり決着をつけて完結させちゃいましょう。

 思ったのですが、魔教は完全に悪の組織なので、全面戦争でも吹っ掛けて壊滅させるとかできないのでしょうか?
 国家権力を動かせるくらいは力があるようなので、適当にテロリストとか言って皆殺しみたいな。
 最初は「政治家が汚職したからと言って国会が悪の組織ってわけじゃないし」って思っていましたが、見た感じ魔教=悪の組織ですし。

※戦闘シーンについて
 とても地味です。てっきり異能・魔法バトル要素があると思っていただけに残念です。
 主人公は100%肉弾戦。それで悪魔をことごとく倒してしまうのですから「悪魔って弱くね?」って思っちゃいました。
 もう16年も前の作品ですが、富士見には風の聖痕という伝奇モノがありまして。風と炎の精霊から力を借りて、妖魔や悪霊と戦う退魔師モノです。
 これと比べるとストーリーも戦闘も設定もあらゆる点が「地味」です。
 風の聖痕は風の刃でホテルをぶった切ったり、竜巻を起こして周囲を破壊し山の景観を変えたり、主人公に五分間だけ最強クラスの術が行使できたりと「中二」というインパクトがあります。
 ナイフや体術だけで倒される悪魔というのはさすがに……地味かなと。

※オリジナリティについて
 退魔師と書いてエクソシスト。超超超超有名な二単語を組み合わせただけでは、オリジナリティは生まれません。
 敵が宗教というのは「おっ」と思いましたが、人間は人間でしかなく異能も魔法も使わないのでここが残念でした。
 必ずしもオリジナリティにこだわる必要はないですが、「この作品ならではの」はあってもいいかなと思います。
 またまたロクアカを引き合いに出しますが、あちらも魔法バトルですが詠唱の方にこだわりがありますので。