>>143
SAOの二巻から、ツールで起こしたものなので変なとこもあるかも。
でね、視点を理解してないと、心理描写が理解できなくなるのね。
三人称の地の文は、神様の解説ではなく、シリカの主観が書かれてるわけ。

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早速顔見知りのプレイヤーたちが声を掛けてきた。
シリカがフリーになった話を早くも聞きつけ、パーティーに勧誘しようというのだ。
「あ、あの……お話はありがたいんですけど……」
 受け答えが嫌味にならないよう一生懸命頭を下げてそれらの話を断り、シリカは傍らに
立つキリトに視線を送って、言葉を続けた。
「……しばらくこの方とパーティーを組むことになったので……」
 ええ!、そりゃないよ、と口々に不満の声を上げながら、シリカを取り囲む数人の
プレイヤーたちは、キリトにうさんくさそうな視線を投げかけた。
 シリカはすでにキリトの腕前の一端を見ていたが、所在なさそうに立つ黒衣の剣士は、
その外見からはとてもしやないが強そうには思えない。
 特に高級そうな防具を装備しているわけでもないし……鎧のたぐいは一切なし、
シャツの上は古ぼけた黒革のロングコートだけ……、背負うのはシンプルな片手剣一本きりだ。そのくせ盾も持っていない。
「おい、あんたI」
 最も熱心に勧誘していた背の高い両手剣使いが、キリトの前に進み出て、
見下ろす格好で口を開いた。
「見ない顔だけど、抜けがけはやめてもらいたいな。俺らはすっと前からこの子に声かけてるんだぜ」
「そう言われても……成り行きで……」
 困ったような顔で、キリトは頭を掻く。
 もう少し何か言い返してくれてもいいのに、とちょっとだけ不満に思いながら、
シリカは両手剣使いに言った。
「あの、あたしから頼んだんです。すみませんっ」
 最後にもう一度深々と頭を下げ、キリトのコートの袖を引っ張って歩き出す。
 今度メッセージ送るよ!、と未練がましく手を振る男だちから一刻も早く遠ざかりたくて、
シリカは早足に歩いた。転移門広場を横切り、北へ伸びるメインストリートへと
足を踏み入れる。
 ようやくプレイヤーたちの姿が見えなくなると、シリカはほっと息をつき、
キリトの顔を見上げて言った。
「……す、すみません、迷惑かけちやって」
「いやいや」
 キリトはまるで気にしていないふうで、かすかに笑みを滲ませている。
「すごいな。人気者なんだ、シリカさん」
「シリカでいいですよ。……そんなことないです。マスコット代わりに誘われてるだけ
なんです、きっと。それなのに……あたしいい気になっちやって……一人で森を歩いて……あんなことに……」
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 四行目「受け答えが嫌味に〜」以降は心理描写。
 ちなみに、キリトに視線を送るのも、キリトを労る心理が現れている。
「うさんくさそうな視線」は、シリカの主観的判断=心理描写。
「所在なさそう」以降から装備の部分は心理描写+人物描写(情景)
「困ったような」「もう少し何かを」ここも心理描写。
「深々と頭」「未練がましく」もシリカの主観的判断=心理描写
「ホッとため息」「まるで気にしていない風」も同様。

 という風に、心理描写はしっかりされている。
 行動とか情景描写に絡めて、一言主観を入れることで、間接的に心理を
描写しているわけ(これがキャラ視点の強さになるのよ)

 短いけど、シリカの心情や、キリトがどんな感じのキャラなのかわかるじゃない?