晒しスレでアゲキチ君が挙げたのは「のうりん」の冒頭から
数ページ目だったかな?

主人公は、都内の芸能人が通う高校に通い、
アイドルとキスを下、そのシーンの続き
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「いつまで寝ボヶとるの、このたーけ。はよ終わらせな授業始まってまうよ」
 座り込んでいるぽくの背中を白いゴムの長靴でゲシゲシ蹴りながらそう言ってくるのは、
ゆかたんとは似ても似つかない、土の香りがする女の子。
 ライトブルーの実習服に身を包んだこいつの名前は!
「なんだ……………………農か………………」
「ちょっと! 何やのその態度!?」
 あ!……完璧に思い出した。

 今は、朝の当番実習の時間。
 学校が始まる前に生徒たちが持ち回りで作物や家畜の世話をする、要するに時間外労働だ。
 そう。
 ここは東京じゃない。
 堀越学園でもなければ進学校でもなくて、それどころか普通科ですらない。
 こは農業高校だ。
 目の前に広がるのは野菜圃場。つまり畑。

 その隣には水田と果樹園、そしてビニールハウスが建ち並ぶ。

 門を潜った校舎の中には牛や鶏といった家畜の飼育施設や、木工所、日本庭園。
 パン焼き窯に直売所など、普通の学校にはまず存在しない施設の数々が。

 学校正面には『祝・レスリング部全国大会出場』の垂れ幕と並んで
『ノーライスーノーライフ』つて謎の垂れ幕が三倍くらいの大きさで掲げられ、生徒の
運転するトラクターが我がもの顔でグラウンドを横切り、その隣では野球部が甲子園を
目指して白球を追いかけている。

 そんな、ある意味すご〜く現実離れした空間。
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・夢から覚めて、中澤みのり(農)のセリフ。
・なまりのある喋り方で、みのりのキャラがわかる。
・ついで、みのりの行動描写に入る。=長靴でゲシゲシ蹴る
・主人公の主観によるみのりの雰囲気=アイドルとは逆方向、土の香

という風に、顔形を直接的に描写してはいないけれど、みのりのキャラが
わかるように、喋り方、行動、服装が書かれてるわけ。
キャラクター視点で、主人公の目に映る光景が書かれてるよね?

初当登場の主要キャラは、これくらいは描写が入ってるわけ。
描写がわかってないと、これを読んで「描写がない」とおもちゃうわけだ。
個性(キャラ)というのは、外見だけじゃないんだな。

ちなみに晒しにあった、稚馴染めずとかという作品も、こんな感じに
主人公の目に見えるものを書いていけば、日時とか、時間とか、天候を説明する
必要がないわけ(見えてるからね)。
そういう意味で、「庭」しか説明がない、あの冒頭は完全に落第点なわけよ。