「では、失礼して。ここで戦争の技術を見せてみろというのは酷ですので、知性の英雄さまに1つ謎かけをさせていただきます。その叡智えいちをこのおいぼれに見せていただけないかと」

「はい。どういう問題でしょう?」

「ある男女4人の家が、

 A B
―――――
 道路
―――――
 C D

 のようにございました。
 道路をはさんで下側に住んでいる者は必ず嘘をつき、上側に住んでいる者は必ず真実を述べます。

 4人はこう発言しました。

 アキレス「私の家はAではありません」
 クリスティーナ「マリアの家はAではありません」
 マリア「私の家はCではありません」
 ダニエル「私の家はDです」

 この時、A,B,C,Dの家にそれぞれ誰がどこに住んでいらっしゃるでしょう?」

「ふむ……」

 なるほど。
 論理的思考力を問う問題か。
 この程度の問題で知性をはかられるとは、見くびられたものだ。

「アキレスがB、クリスティーナはD、マリアはA、ダニエルがC、ですかね」

 即答するリョウスケに、場がざわめいた。

「そ、即答でございますかっ!?」

「おいおい……考える素振りすらなかったぞ」
「まさか、正解じゃないよな……?」

 後ろに控えている臣下しんかたちがざわざわと話し合う。

「ジルドレ。どうなんだ、リョウスケの答えは合っているのか?」
「正解、でございますな……」

 アルベルトの言葉を受けて、ジルドレがうめくように言った。

「おいおいマジかよ……。この国で一番の天才の、ジル爺が出した問題を即答だぜ……?」
「こいつぁ本物だな」
「あぁ……本物の知性の英雄ってのは、すげぇんだな」