【流浪する断頭台】

名前:イルルジャン
二つ名【斬首現象】【告死者】【堕ちし者】

魔力:D
筋力:C(?)

 かつてとある国で名を馳せた古老の剣士。
 あらゆる剣の理合を熟知し、剣聖を超えて剣仙とさえ言われた。
 数多くの弟子を育て、その数は三千を超える。その大半が超一流の技量を持つ高名な剣士となった。
 性格は好々爺を絵に描いたような温厚な人物であり、剣士としての実力以上にその人格を惜しむものも数多い。
 伝説の英雄として実力も名も最高峰と位置される人物でだろう。

 突如として狂うそのときまでは。

 突然、彼は弟子を次々と殺していった。弟子だけではない、その孫弟子や曾孫の弟子までを。
 失踪するイルルジャンと唯一会話を交わした女中は、「私は間違いを正さねばならない。そのために私の教えを受けたもの、伝えたもの全てを殺さねばならない。世界を救うために」と語っていたという。

 齢九十を越えるとは思えない壮健な肉体に、究極の剣の理合を持って放たれる究極の斬撃は、もはや一つの変えられない法則のごとく相手の首を断つ。
 筋力も本来常人を大きく逸脱するものではないはずだが、筋力や魔力を大きく上回るものも、その剣士としての経験と能力の前にことごとく屈服し斬られるのみ。
 剣士というよりは、もはや首をはねる一つの現象そのものである。
 顔は鏡面状に磨かれたマスクに包まれており、表情はわからない。ただ、このマスクはよくある量産品でありイルルジャンが狂った理由ではないらしい。
 最大の特徴はイルルジャンは魔法や特殊なアイテムの類は一切しようしていないこと。剣さえもそこらの安物を使い捨てているらしい。
 自らの持つ剣士としての能力のみで全世界に散らばる弟子達を殺戮して回る。現在の被害者、一万五千人。

 彼が狂った理由は、未だ知るものはいない。