「チェストォォ!!」

 突く。何度も突く。思い切り突く。
 正拳突きを日に三万。渾身の力を込めて突きまくる。

「チェストォォ!!」

 うだるような夏の日も、底冷えする冬の日も、雨も、雪も、雹が降ったって、突く。
 男はそんな武道家だった。

「チェストォォ!!」

 何があろうと突くのだ。

「チェストォォ!!」

 どうあろうと突くのだ。

「チェストォォ!!」

「うるさいわね! いつもいつも近所迷惑なのよ!」

「すみませんんんっ!!」

 たとえ、妻に怒られようと。