ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【84】
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点数の意味
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40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!
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ここまでの最高得点は76点!(`・ω・´) 5chのルールが権利の濫用にあたって法的無効になる可能性も無きにしもあらず >>509
著作者のなんかの権利を侵害してそう
両手剣を履き黒装束に身を包んだ屈強な男、その名はラディ。
ローブの下に革の軽鎧を着込み、弓と矢の詰まった箙を背負い、更に術具を兼ねた細剣を腰に差した女がラディの隣を歩いている。彼女は魔法戦士のレナ。
二人は相方と組んでこのかた、互いの弱点を補う組として、傭兵として名を挙げつつあった。
そんな二人は、いつものごとく依頼を探して街から街への旅暮らし。
ようやっと森を抜けて、依頼者がいそうな次の都市まであと1日というところまできていた。
危険地帯の暗い森を抜け、麗らかな日を浴び、さしもの二人も少し気が緩む。
良い天気に誘われ空を見上げていたレナが、ふと眉間に皺を寄せた。
「ねえ、何あれ」
その表情につられ、ラディも彼女の指差す先を見た。
「おい、なんだありゃ、お前、分かるか?」
「わからない……わからないの……」
黒い点が二つ、ものすごい勢いでこちらに近づいてくる。
索敵も得意とする器用万能なレナ。
そんな彼女ですらわからないとなれば、かなり深刻な事態である。
ラディはすぐさま剣を抜き放ち、レナは流石の早業で矢を弓につがえた。
そして絶望を覚えた。
一体は長い首と尾に皮膜の翼、典型的なドラゴン。とても大きくて体色は赤。
もう一体はどうやって飛んでいるのか、長大な蛇のような身体に、青空の色の鱗をまとった、ドラゴンというには異端の姿。
ヒトの目で見る限り、後者が前者を追いかけているようだった。
「くそっ、こっちはたった二人なんだぞ!」
彼らは手練れではあるが、ドラゴンというのはもっと多人数で当たるものである。最低でも怪我を癒せる治癒師は必要だった。
ましてやそれが二体とは。
悪寒が止まらない。
遠目のきくレナには、前を行く赤いドラゴンが嗤ったように見えた。
みるみるうちにドラゴンの姿は大きくなり、細部まで見えてくる。
それでも街の近くということもあり、二人ともせめて一矢報いようと死を覚悟した。
「レナ! 街に知らせろっ!」
「えっ、あっ、いやーー!!」
明らかにこちらを認め速度を上げたドラゴンが二人を跳ね飛ばす寸前、ラディはレナを道の脇へと思い切り放り投げた。
そこから先の光景を、投げられて落ちるまでのわずかな間、レナは奇妙に現実感無く見ていた。
赤いドラゴンは器用にも前足の爪をラディに引っ掛け、後続の青い蛇のようなドラゴンにぶつける。
青い方は咄嗟に止まれずラディと正面衝突。
そのままラディの身体は四散するかと思われたが、ここで眩い光が当たりを一瞬包みこんだ。 レナはどうにか受け身をとって着地する。
体勢を整えて顔を上げると、光は消え、ラディの姿も見えず、代わりに青いドラゴンの背に翼が生えていた。
青いドラゴンは以前にも増す速さで赤いドラゴンを追いかける。
すぐに赤いドラゴンを捕まえ、押さえ込んだ。
赤いドラゴンも必死に抵抗し、むやみやたらとブレスを吐きまくる。
「ラディの仇!」
精一杯の魔力を込めた一射が、赤いドラゴンの大きな眼球に突き立つ。
決して深くは刺さらなかったけれど、痛みで怯ませるには十分だった。
怯みから回復し暴れまわるまでの僅かな隙。
青いドラゴンは赤いドラゴンの喉笛に噛みつき、息の根を止めた。
トドメとばかりに鋭い爪で首が掻き切られる。
全てが終わった後、一声、青いドラゴンは天に向かって声を上げた。
そしてゆっくりとレナの方に向き直る。
「あ、終わった……」
魔力は尽き、気力も使い果たし、レナはもう動けない。
街へこの災厄を伝える約束を守れなかったと、激情にはしったことを今更後悔する。 青いドラゴンはレナを見下ろしたまま、微動だにしない。
その眼に穏やかな理知的な光があるのに、レナはここでようやっと気がついた。
「ラディ……」
緊張が解けて、まるで幼い少女のように泣きじゃくる。
自分で自分の感情がコントロールできない。
顔を伏せて涙を零していると、淡い光を感じた。
「あー、その、泣くなって……」
「ラディ!?」
「あ、ああ」
「本当に本当にラディ? 死霊じゃなく?!」
「一応生きてるよ」
「うわあーん、ばかー!」
レナは涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、ラディに抱きつこうとする。
「わ、ちょ、俺今真っ裸!」
「変態!」 残った荷物からどうにかラディの身支度を整えて、レナは詰問モードに入った。
「それで、あの状況からどうやって生きてたの?」
「あー、それは……」
『私と融合してもらいました。高速で投げられた時点で既に半死半生だったため、それ以外に彼の生命を救う道は無かった』
「誰?」
ラディの肩口にいつの間にか小さな青い蛇のようなものが乗っていた。
『あそこで赤い竜を追っていたのが私です。
融合してどういうわけか私も強化されたのですが、これまたどういうわけか彼に力の殆どを持っていかれたようで。
融合後はほぼ彼が戦っていたのですよ』
「えー!?」
「何か気がついたら身体はデカくなってるし、力は有り余るしで驚いたぜ! まあそれで死なずにレナを守れたんだから言うことないよな」
『しかし困りましたね、私が捕え斃す必要のある同族はまだまだ沢山いますが、貴方に力の大半を奪われた状況ではそれも果たせそうにありません』
「なら俺を雇えよ。お前の代わりにきっちり戦ってやる」
「何勝手に決めてんのよ。私も一緒に決まってるじゃない。ラディ一人じゃ心配で心配で」
『……お願いします。成功の暁には、竜の国から金銀宝石、絹の反物に最高級の磁器、神宝さえも褒賞としてお渡しするとお約束します。どうかお手伝いください』
「んじゃ、細かい条件は宿に入ってから詰めようぜ。どうにも腹減っちゃって」
「そうね、そうしましょう。あっちの死骸をどうにかする手配もしなきゃなんないし」
「そうと決まれば街へと急げだ! しっかり掴まってな、舌噛むなよ!」
「え、っちょ、きゃあ!」
ラディはいきなりレナを抱き上げたかと思うと、猛スピードで走り始めた。
「いやあ身体が軽い。お前の体をこんなに軽く感じるのは初めてだな!」
レナは発言内容に猛烈に抗議したかったが、それこそ舌を噛みそうで何も言えなかった。
後年ドラゴンキラーとして語り継がれる二人と一匹は、ここから始まったのだった。
4レスになってしまいましたすみません…… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています