記憶さんが出てくると、思い出す人がいる。
十五も上の人だったけれど、まるで子供みたいな人だった。
統○○○症の彼女の笑顔は、ひまわりみたいだった。
もともと母の知り合いだったけれど、母のお供の私も彼女が好きになった。
妄想に苦しんで、ご飯も作れなくなった彼女。気になってよく寄った。
おにぎりとかおかずとか持っていくと、目の色を変えてすぐにパクついた。とてもおいしそうに。
いつも周りを振り回してばかりだったけれど、憎めない人だった。
そういう病気の人は、けっこう天使だったりする。すごくわがままもいうけれどね。
やっぱり、彼女は天使だった。

でも、桜が咲き終わったある日、彼女は癌で空に逝ってしまった。
彼女はお星さまになったのかなぁ……。
惑星ソラリスなのかな。もしソラリスだったら、探査機に乗って地球に帰ってきてほしい。
そして、そして、ジュディが想像したように、レモンゼリーのプールで泳ごうよ。
きっと、彼女は喜ぶよ。絶対、絶対、すごい笑顔でうれしそうに笑うよ。

最近、彼女を思い出すと涙が流れる。もう、5年もたっているのに、なんでかな。
彼女の屈託のない笑顔に、もう一度会いたい。
死んじゃダメ! 絶対!
記憶さんにも、長生きしてほしい。

昨日は雪も降って曇った寒空だったけど、今見たらお星さまが出ていた。
オリオン座もはっきりと見えたよ……。
空の星は、みんなの上にいつもキラキラとかがやいている。