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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【84】
レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
0001ぷっぎゃああああっす!
垢版 |
2018/02/10(土) 20:56:33.98ID:cZ2+QTng
オリジナルの文章を随時募集中!

点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

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抜粋の文章は単体で意味のわかるものが望ましい!
長い文章の場合は読み易さの観点から三レスを上限とする!
それ以上の長文は別サイトのURLで受け付けている!

ここまでの最高得点は76点!(`・ω・´)
0901この名無しがすごい!
垢版 |
2018/03/01(木) 15:27:39.65ID:G3A0xrUq
それは、深い悲嘆のせいだったかもしれない。
新たに襲ってきた竜に向けられた、戦士の剣。だが、それには全く覇気がなかった。
つい先刻、別な竜との闘いにおいて、治癒者を亡くしたばかりであった。
長年家族のように共に生きてきた男であった。一瞬の隙をつかれ、治癒者は竜の腹の中に無残にも呑み込まれてしまった。
追い縋る二人の戦士に一瞥もくれず、瞬く間に飛び去る竜。
そこに、また別の新たなる竜が襲ってきたのだ。青銅色をぎらぎらと光らせる竜が。
迎え討つ男女の戦士。二人の心は憤怒よりも悲しみが勝っていた。戦う気力を削がれたように剣の捌きが弱い。

戦士の一族と敵対する北の呪術者ゴーネルは、竜に強大な術をかけた。一族の者を喰うこと。
それ以来竜は一族を襲い、一人喰っては腹を満たし去っていった。それが、もう二十五年も続いている。
呪術者ゴーネルの魔術を凌ぐ者の誕生。それが一族の悲願であった。

二人の戦士を、竜の鋭い爪が襲う。爪の切っ先をこそ逃れたものの、強大な腕で激しく吹っ飛ばされる。
地面に叩きつけられ、気を失う男の戦士アダル。
「アダルっ」女戦士カナンが叫ぶ。

カナンはこの世界には珍しい、紫色の瞳を持つ女であった。
また、赤銅色の竜の中にあって、これもまた、めったにいない青銅色に輝く竜が相手であった。
カナンの人生において、これが二度目に見る青銅色の蒼い竜である。
一度目はあれは……。カナンの記憶が呼び覚まされようとするが、まだ漠として要を得ない。容赦なく竜はその禍々しい爪と牙をふるってくる。

気絶したアダル。剣を持てる者はこの今はこの私一人……。
いつもの赤い竜より一段と大きく、他の竜にはない威容を感じさせる青銅色の竜である。とても勝ち目はないであろう。
彼を助けるために私ができることは、ただ一つ。
カナンはそう悟ると、戦士の剣をすっと自身の足元に置いた。
そして、背筋を伸ばした。
0902この名無しがすごい!
垢版 |
2018/03/01(木) 15:29:27.62ID:G3A0xrUq
「蒼き竜よ。私を喰らうがよい」
カナンはそう放つと、静かなる瞳で竜を見つめた。カナンの周りを妙なる静寂が覆っている。
その心には、なぜか恐ろしさがほとんどなかった。
自分が生まれる前、人と竜は共生していたという。
ゴーネルの術にかかった竜に剣を突き立てるごとに、己の心にも剣が突き立った。
カナンは屈強な戦士の体に、震える心を持ち合わせていた。
もう終わらせられる。もう殺さなくていい……。そう思うと、心が凪いでいく。
猛き竜はつと動きを止めると、カナンの澄み渡る紫色の瞳に眼を据えた。暫しの沈黙。
次の瞬間であった。竜が天に向かって凄まじい轟音の雄叫びを上げた。全てを破るいかづちのごとき声。
すると、遥か彼方より呼応するかのように、幾多の竜の鳴き声があがる。
蒼竜はカナンの前にその恐ろしい顔を近づける。目の前に底光りする牙が迫る。
カナンは最後の時を覚悟した。
だが、竜はその蒼い顔をカナンの前に突き出したまま、じっと動かない。
竜の燦然とした金色の眼が、瞳の底を見つめる。
その時だった。カナンのおぼろげな記憶がはっきりと立ち上がった。

あれはもう18年も前だ。カナンが6歳の頃のことだった。村のはずれで一人遊んでいると、道の傍らに蒼く動くものを見つけた。
見ると、それは人間の赤子ほどの竜の子供であった。竜の巣からはぐれてしまったのだろうか。一匹でモゾモゾと動き、うずくまっている。
カナンがそっと触ると、竜は怖がりもせずにその手に顔を摺り寄せた。紫の眼と金色の眼が邂逅する。
見つかったら、大人達に殺されてしまう……。人を喰らう竜だと聞かされてはいたが、この小さな子竜を助けたい。その一心のカナンだった。
子竜をしっかりと抱き上げる。村から続く森へと分け入ると、人の目の届かない場所にその子竜を置いた。
「もう、絶対に村に来ちゃダメだよ」そう言うと引き返すカナンを、蒼き子竜はいつまでも見ていた。
幼いカナンも、子竜の行く末が気になりながら、何度も後ろを振りかえった。

目の前の竜は、あの時の蒼竜であることがはっきりと感じられた。
「お前、生きていたんだね……。よかった……」 目に熱いものが、あふれ出す。
蒼き竜が、グルルルルルと低く甘えた声を出す。
カナンの頭に、竜の思念のようなものが流れ込んできた。
ハッとするカナンだったが、静かに頷いた。
頭を下げ、身を低くした蒼竜にすばやく跨ると、しっかりとその首筋を掴む。
その時、うめき声をあげながらアダルが目を覚まし、身を起こした。竜に乗るカナンに驚愕の目を向けるアダル。
「この竜の魔術は解けている。話は後だ、早く乗れ」叫ぶカナン。
アダルはしばらく目を剥いていたが、何かを感じとると、俊敏な動きでカナンの後方に跨った。
蒼き竜は、その翼を大きく広げると、壮大な風を起こしながら天高く舞い上がる。

ここに二人のドラゴンスレイヤーが消え去り、新たなる者が生まれた。
遥かのちの人々に、伝説として語り継がれる天翔けるドラゴンライダーの誕生であった。
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