ぼんやりと川の流れに目をやる。とても軽快な音色で流れゆく川は、途中で流れに参加した、まだ青い若葉と一緒に戯れながら、川下の方へと流れてゆく。
とてものんびりした風景。
このまま目を閉じて眠ってしまいたいと思うくらいに平和。
どこまでも平和で平凡な日々。
 とろんとした表情で、まるですべてを許して抱き留めてやろうとさえ思うくらいに、心の中が穏やかに澄んでいた。
 流れゆく水面に映る雲の流れ。空を見上げても雲はゆっくりと動くだけで変化はないのに、水面にある雲たちは体をのびのびと動かし、軽快なダンスを川の流れと木の葉と一緒に踊っていた。
 ぼんやりと川の流れに耳を傾けながら、風に体を揺られ、水のせせらぎと鳥たちのさえずりを子守歌にしていた少年は、幼さの残る面持ちで瞼をうっすらとあけていた。