黒薔薇の訂正案です。

 少年が出会った美しい少女は、世間で忌み嫌われる吸血鬼という種族の末裔であった。

 しかし少年は、それを知って尚恋をする。白く冷たいその手を取って、その耳に愛を囁き続けた。

 種族の違い――否、怪物である吸血鬼と想い合ったがゆえに二人に降りかかる迫害と災厄。 たった一つの大切なものを守ろうとしたために全てから切り捨てられた少年は、己の持てるもの全てを使って少女と共に歩み行く。

 やがて恋が愛へと変わる時、襲い来る銀色の殺意に照らされて、闇夜に黒き薔薇が咲き――

 ――決して祝福されぬ恋。それに身を焦がした少年と少女は、どこまでも愚かだった。そしてそれは、二人の恋がどこまでもまっすぐであったことの証明でもある。

 恋と狂気に蝕まれた少年から流れ続けた血のように、愛憎で染め上げた黒薔薇は――一体、どんな味がするのだろうか。