春風に誘われて ひとり車を走らせる

買ったばかりのオープンカー

寒空に縮こまっていた手足を伸ばすように

窓を開け放ち 屋根を開け放ち

おひさしぶり と青い空に 

お先に失礼 と地中の虫達に

広い街道は地平線まで続く一本道

ポカポカの太陽と風の音が眠気を誘う

そうだ コーヒーを飲もう

コンビニの駐車場は最高のステージ

皆の視線を浴びながら 澄ました顔でクロージングダンス

ステップも軽やかに店内へ

ブラックコーヒーを右手に リモートキーを左手に

さあ再びのショータイム オープニングダンス

でもダンスは始まらない

僕の心を凍て付かす

それは冬の稲妻


真っ白な


真っ白な



十円玉パンチ