思えば、報われない人生だったのかもしれない。
「悪いが、射座はこれからの旅には連れていけないアル」
作品完結のための、佳境突入を目前にした旅の中で。
勇者パーティーの登攀から、そうハッキリと言われた。
「な、なんでだ……?」
動揺を隠しきれないながらも、俺はついにこの時が来たかと、つばを飲み込んだ。
「射座だって分かってるアル?最近の戦いでは、もうお前の力ではついてこれていないアルよ」
俺を見つめる、怜悧な4天王の視線。
いずれも歴戦のツワモノだ。
この場に、パーティーリーダーであるゆゆぽだけがいないが、俺を含めたこの6人が世界から一身の期待を浴びる、勇者パーティーだ。
彼ら彼女らの視線から、「お前は足手まといだ」そう思われているのが、ありありと分かった。
努力最強にしてチートの包囲殲滅勇者インファイティングガード・ゆゆぽ。
頑固さだけなら勇者すらしのぐ登山の導師マッシブクライマー・登攀。
世界で一人しか使い手がいない困惑の語り部ハイコンヒューザー・タグ迷子。
万里からも不意を突くと言われる救世の姉弟殺しクレイジーフラグエクスパンダー・怨じぇる。
パーティーに不可欠な索敵やマッピング、物資管理をさぼらせたらピカイチの蘊蓄長ストックマスター・矛盾。
そして俺。うろ覚えの言葉を操ることができる幾千の物支離ワードミステイカー・射座。
「射座の《クラス》、幾千の物支離ワードミステイカーはたしかに面白い《クラス》アルよ。
 きみにしか操れない言葉によって、僕たちがこれまでツッコミとかで救われてきたのも事実アル。
 だが、今のきみでは、これからさらに激戦を強いられる終盤への戦いにはついてこれないアル」
登山の導師マッシブクライマーの登攀が言った。