使用お題:『気持ち悪い』『英単語三文字の略語』『ロボ』

【思考性電脳純愛】(1/3)


 一目惚れ。口にしてしまえばそんなチープな言葉に収まってしまう事だけど、その時の僕の状態を言い表せる言葉なんて他にはなくて……

「キモイ」
「……」

 笑顔のアイリスが頬を染めてこちらを振り向いている。

『浩一といるから楽しいんだよ』

 そんな言葉に僕はへにゃりと相好を崩す。

「キショい」
「……」

 今日のデートは今まで選択する事の無かった“地元の公園”。遊園地やら水族館やらに比べると魅力は薄い。けど、ここまで好感度を上げた後でならこんな所でも十分に喜んでくれる。
 曰く、『浩一が育ってきた場所なんでしょ? 何だか私も嬉しいよ』って事だ。

「無視すんな」
「……」

 デートの終わり、頬を染めたままのアイリスが眼を瞑り唇を突き出す。それが、何を求めているかなんて考えるまでも無く、僕も……

「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いぃ!!」
「ちょ、なにすんだよ!! 放せ馬鹿!!」

 アイリスにキスをしようとした僕を幼馴染が羽交い絞めにする。

「おまっ、ふざけんな!! 邪魔をするな!!」
「人として! 幼馴染として! それは許さん!!」

 何、邪魔してくれてるんだ!! 僕はアイリスと……

 ふにゅん。

「!!」

 いや、惑わされるな響 浩一! これは孔明の罠だ!! 僕とアイリスを引き裂かんとする卑劣な京香の罠だ!!

 ふにゅふにゅん。

「!!!!」

 いつの間にこんなに育って……いやそうじゃない! しっかりしろ響 浩一! お前には彼女が居るじゃないか!! しかし……

 むにゅふにゅん。

「!!!!!!」

 ぐっ、一ノ瀬 京香……怖ろしい娘!  
 そんなやり取りをしているうちに、アイリスが拗ねた様な表情になる。しまった! タイムアップだ!!

『キス、したかったんだけど……今度は、ちゃんと……ね?』

 彼女の言葉に、僕はホっと胸を撫で下ろす。
 アイリスと積み重ねた時間はこんな事位じゃ揺るがなかった。その事が無性に僕もうれしい。