使用お題:『続編』『合体』『ロボ』

【続編・山間の子供達】(1/2)


 こどもの日だゴールデンウイークだのと言っても、兼業農家の多い山間では長い休みと言う以外の意味は無く、特に田植えを控えたこの時期は田おこしやら代掻きで人手が取られる。
 その為、大森家の勇也、優衣兄妹も田んぼへと繰り出していた……のだが……

「なぁ、親父、俺ここにいる意味ってあるのか?」
「うん、まぁ、家族間コミュニケーション?」

 勇也の言葉に父親、雄三が頬をポリポリと掻く。
 今、大森家の田んぼでは、宮内 博子……ハカセの父親、真守の作った田んぼ用ロボット“トラクティオン・ジェネシック”がすごい勢いで代掻きをしているからだ。

「うー、ボク、ショッピングモール行きたいぃ」
「まぁまぁ、それじゃぁ、午後からお買い物に行きましょうか? 小凪ちゃんと博子ちゃん誘って、五人で」

 特に何するでもなく軽トラックの荷台でお茶を飲んでいた一家だったが、しかし、末娘はそんな長閑な時間に耐えられる訳もなくぐずり始め、どうやら、特に自分達の手など必要としていないと理解した母、結子も、どうせならと買い物の計画を立て始めた。

「あれ? それ、オレ入ってるか?」
「え? だってお父さんは田んぼ見てなくちゃいけないでしょ?」
「まぁ、そうなんだが……」

 少なくとも一人は代掻きの様子を見ていなければならない為、当然と言えば当然の結論ではあるのだが、雄三は何だか腑に落ちない物を感じ眉を顰めた。

「何なら、宮内さんでも呼んで、お二人で見ていれば良いではないですか」
「宮内はなぁ……」

 雄三が言い渋る。良い友人ではあるのだが、自分の発明に対する説明が鬱陶しいのが玉に瑕であり、そういう意味では、流石はハカセの親だと言えた。
 チラリと結子の方を見る。だが、既に彼女の頭には何を買おうかと言う算段しか見て取れない。ならばと愛娘に目をやると、彼女はニパっと笑うと「お父、バイバイ!」と言って、手をにぎにぎと振る。
 雄三はガクリと肩を落とした。

 ******

「ユウくんのお母さん、ありがとうございます!!」
「すみませんおばさん、私まで誘ってもらって」

 ワンボックスに乗った大川 小凪と宮内 博子は改めて結子に頭を下げた。
 ショッピングモールで買い物三昧だった三人はご機嫌で、会話も弾んでいた。