>>306
えっと、こうですかね?

使用お題:『そんな馬鹿な!』『裸』『プール』

【水面の月】(1/2)



 月が綺麗だ……僕はそう思った。
 けど、欠けることない真円は、 美しさに比例して侵しがたい神秘性をも湛える。

「何ボケッとしてるのさ、早く来なよ!」

 月を眺めていた僕に、彼女が金網の上からこ声をかける。

「え、うん」

 ハッとして、僕は差し出された彼女の手を取った。

 ******

 コツンコツンと窓ガラスに何かが当たる音がする。

 ―AM1:27−

「……」

 眠い目を擦りながら僕はカーテンを開く。窓の下には予想通りの光景。
 小石を手に、振りかぶった彼女の姿。
 僕の姿を窓越しに認めた彼女は、極上の……悪魔の……笑みを浮かべた。

「プールに行くよ!」
「は?」

 すでに決定事項なのだろう。言い切る彼女に僕が眉根を寄せる。当たり前だ、こんな夜中に何を言っているんだろうか?

「ほら、行くよ?」
「……」

 溜息交じりに、僕は重い腰を上げた。