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使用お題:『逆上がり』『女装』『悪魔』

【因果応報】(1/2)


「さぁ、三千四百円! 三千四百円より上は居ない?」

 女生徒の声に一同が顔を見合わせる。ザワザワと言うざわめきこそあれ、それ以上をコールする者は誰もいなかった。

「よし! じゃあ、生徒会長、泉堂 美和子の私服写真はあんたの物だ!!」
「よっしゃあぁ!!」

 告げられた男子が、ガッツポーズを作る。
 だが次の瞬間、それが落胆へと変わり、その逆にギャラリーからは、歓声が上がった。

「じゃぁ次は、同じく泉堂 美和子の逆上がりシーンの写真だ!!」

 資金を使い果たし、絶望する男子生徒を見下ろしながら、女生徒……美濃 永夏は悪魔の笑みを浮かべた。

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 学園裏オークションは、何時もの如くの大盛況をおさめていた。
 特に目玉商品だった生徒会長の逆上がり写真は、一万二百円と言う高値が付き、永夏としてもホクホク顔であった。

「しっかし、馬鹿よねぇ。こんな写真に大枚叩くなんて」

 ピラピラと、プリントアウトされた写真を弄ぶ。逆上がりシーンとは言え、この学校の体操着は普通の化繊素材であり、特に透けると言う訳でも無ければ、膝丈のハーフパンツの為、永夏から見ても色気のある格好とは思えない。
 強いて言えば伸縮する素材の為、普段よりスタイルが多少強調される位か。

「馬鹿ばっかりよね」

 写真の会長と自身の小学生にしか見えない身体を見比べて、若干、平淡な声でそう呟いた。
 写真部の部室に戻り、PCを立ち上げる。

「おっ、来てる来てる! 飯の種が!!」

 永夏の見ているのは写真のリクエストメール。このメールのリクエスト上位の人間を(無許可で)撮影しておけば、オークションで高値が付く写真撮れると言う寸法な訳だ。

「……会長が一番人気は変わらずか……ん?」

 メールを開き、集計をしてゆく。その中で、一つ引っ掛かる注文があった。

「放課後の美少女……ね」

 毎回必ず1通は来る注文メール。放課後に現れる謎の美少女。
 この学校の制服を着ていて、時には同校の生徒と会話している所を目撃されている事も有り、学校関係者である事は間違いないらしい。
 だが、放課後以外でその目撃情報は皆無と言う謎の美少女だった。

 リクエストの数こそ多くは無い事も有って後回しにはして来たが、永夏自身、そう言った謎は大好物でもある為、いつかは調べようと思っていた相手である。

「良し!! ちょっと調べてみますか!!」