「自業自得だろう」
「なんだとっ」
「あんたには、俺にはない強力な武器があったはずだ。
幼少期から過ごした愛子との時間や生活環境、成人してからだって顔は合わせていたんだろう? 愛子と想いを交わすチャンスはいくらでもあったはずだ。
だが、あんたは全て見逃した。言い訳はするなよ。あんたは、愛子の心が俺に向く余地もないほどの、“帰る理由”になれなかった。なろうとしなかった。その結果がこれ。それだけのことだ」

 正論だった。奪われた――なんて、とんだお門違いだ。誰よりも愛子に近い位置にいながら、共に歩むための戦いをしなかった。
だから、いつの間にか、手の届かない遠くにいってしまった。それだけのことだった。

 ハジメにしては、妙に説教臭い。敵は容赦なく潰すし、気に食わない相手も、言葉を尽くすことなどなく無視するか、無視しえないときはやっぱり潰す。
それがハジメだ。愛子に手を出そうとした相手に、こんなに言葉を叩きつけることは珍しい。

 よくみれば、先程、あれだけ派手に吹き飛ばされたというのに、太一には傷らしい傷もない。

(私の幼馴染だから……)

 そういうことなのだろう。

ハジメちゃんは優しいなぁ