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ワイが文章をちょっと詳しく評価する【91】
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0001ぷぅぎゃああああああ ◆Puuoono255oE
垢版 |
2018/05/31(木) 10:51:37.67ID:e9HLf/lY
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点数の意味
10点〜39点 日本語に難がある!
40点〜59点 物語性のある読み物!
60点〜69点 書き慣れた頃に当たる壁!
70点〜79点 小説として読める!
80点〜89点 高い完成度を誇る!
90点〜99点 未知の領域!
満点は創作者が思い描く美しい夢!

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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する【90】
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1526900952/
0258美世閲覧注意
垢版 |
2018/06/03(日) 15:32:55.88ID:TXyF3sUp
 わけがわからないと言った様子の男性に美世は切切と語った。
「このコンビニは珍しく駐車場が三台分もある奇跡の物件や、そしてココ」 美世は地面を指さした。車の下に丸い白線が見える。
「こんだけわかりやすい絵を何とおもた、バランスボールでダイエット中とでもおもたんか、ここは障害者用や、わかるか、普段車が足の障害者はわざっわざ遠回りしてでもここに来るんや」
 山田は背中で会話を聞きながら思った、正にその通り、しかしここに車が停まっている事はよくある事で、別段珍しい事ではない、たまたまこの人が勘に触ったんだろうか。運転手は不満そうに言った。
「いや、でも」
「あのなぁ、ひょっとしたらしばらくはけぇへんかもしれへん、しかし万が一今来たとしてみ? 2つの意味でどんだけ残念な思いせなあかんとおもてんねん、ここは障害者の為に確保されたスペースや、ここに車が止まってないのは空いてるんやない、待機してるんや」
 男性は黙って美世を見た。
「わかるな」
 美世がズイっと顔を寄せた。男性は無言で車に乗るとそのまま出て行ってしまった。
「はあ」
 美世はため息をつきながら右手を腰にに当てるとまた手を垂らしてそのまま歩いて帰っていった。
「そして僕は気付きました、美世さんは一度もそちらを見ませんでしたが、道路の対面に車を止めて窓からこちらを見ている人、ちょくちょくうちにご来店される車椅子の人だって、美世さんは当人に気を使わせる事なく
そして思慮深く場をとりなしたんです、僕は思いました、この人は強い、そして優しい」
「そんなんあったっけなぁ、油断も隙もないな、どこで人に見られてるかわかったもんやないわ」
「僕の職場なんですけど」
 そう言いながら山田は笑った。
「まあ、うちの母親も車椅子生活だった事があるからな、ある程度ああいう人の苦労はわかんねん」
「それにしても普段の生活ではなかなかできる事じゃありません
それに僕を助けた事だって、あり得ないです、強盗の時はある意味ありえなかったですけど」
「あれか、あの後姉さんにえらい叱られて騒動になったわ、それがきっかけで逃げるように知床まで行ったんや」
「知床!? 武装強盗を素手で病院送りにする人がそこまで怯える姉さんて一体」
 山田は空中を見つめた。
「どんな想像しとんねん、そんなゴリラみたいな人ちゃうで、清楚で凛としてれ綺麗んや、見たらびっくりするで、医者やってなかったら女優になってる、うん、間違いない、まあ怒らせたら魔王になるけどな」
「医者なんですか?」
「そや、美しくて優しくて強い人っていうのはああゆう事を言うんや、ウチは……ウチは強い人間なんかやない、人に親切できんのはトモ兄の影響や、家におったやろ?あのおっさんに会うまではウチも世間を恨んで生きてたからな」
「へ、へぇ、そうなんですか」
 山田はもじもじと言いにくそうにしてから美世に聞いた。
「あの、美世さんはその、鷹山さんの事が好きなんじゃないですか」
「ん? ああ昔好きやって気持ちを勘違いしてた時期はある、もちろん今でも変わらず好きやけど恋愛云々じゃなくて、それ以前に愛すべき家族やねん」
「彼女いるんですよね、その姉さんていう人」
「ああ、そや、これがまた困った事にウチも姉さんが大好きや」
「美世さんは一緒に住んでるんですよね、鷹山さんと」
 山田は複雑な顔をして考え込んだ。美世はにこりと笑って人事のように言い放った。
「人生は理屈通りに行かんな」
「山田は釈然としない気持ちのまま再び食事にとりかかった。

 美世は山田が住んでいる団地まで送り届けて一緒に車を降りた。
「ごちそうさまでした」
「ほなまたな、ええ仕事したらまた奢ったるからな」
「あの、美世さん」
「なんや」
「今日の料理も美味しかったですがあの日、お宅でごちそうになった料理美味しかったです」
「そうか? トモ兄はウチの料理は薄いっていつも文句言うねんけど」
「うちの母も関西なので」
「そうなんや、どこ?」
「西宮です」
「ほう、正に甲子園や、嫁に来たんか」
「まあ、そんな所です」
「なんやそれ」
 美世は笑いながら言った。
「それにしてもお前ウチをみくびってたやろ、料理なんかできん女とおもとったやろ」
「え、そんな事は」
「顔に書いてあったで、これ誰が作ったんって、まさかこのゴツイおっさんかとさえおもたやろ」
 頭を抑えて俯いた山田を見て美世が笑った。
「ええで、気に入ったんならまた食わしたるわ、ほなまたな」
 美世が車のドアに手をかけた。
「あの!」
0259美世閲覧注意
垢版 |
2018/06/03(日) 15:41:13.63ID:TXyF3sUp
 まだ何か言いたそうな山田に美世は首をかしげた。
「その……僕……美世さんの事好きかもしれません、いや、好きです、あの、僕の彼女にして欲しいって話し、まだ有効ですか」
 美世はぽかんとして山田を見た。
「ぷっ」
 美世が吹き出すと山田は激しく動揺してアタフタした。
「でででですよね〜もちろん冗談だってわかってます、あはははは」
「ちゃうちゃう、そやなくて、なんやコレ、ウチ口説かれてるやん、からかってんのか?」
「ととととんでもない」
「なんや新鮮やなぁ、こんなピュアな告白受けたん何年ぶりやろ」
「その、美世さんの事は前々から知ってるって言いました……よね? 美世さん目立つからすぐに顔は覚えたんですが、その、さっき話したような事があってから気になっちゃって、来店されるとすぐに気がつくようになって
いつの間にか探すようになってましたでも僕なんかと全然違う世界の人でまさかこんな、家に招かれたり一緒に食事とか考えた事もなかったんです、それでちょっと調子に乗っちゃって、嫌ならいいんです、ぜんぜん
その、今日はいつもになく調子が良くて、美世さんが背中を見てると思っただけで
超気合い入って、みんなにも女神効果だって言われたりして」
 ニヤニヤしながら山田の様子を見ていた美世が言った。
「何グダグダ言うてんねん、告白やろ? 惚れ惚れする言葉の一つも言うてみぃ」
 一瞬呆気にとられた山田の顔つきが変わった。一歩前にでて真剣な表情で美世を見つめると山田は言った。
「身の程知らずなのはわかってます、チャンスをください、僕は昨日まで自分のために投げて来ましたが、これからは美世さんのために投げます、だから見ててください、見ててくれる限り必ず美世さんを満足させてみせます、そして甲子園での優勝を美世さんに捧げます」
 グイっと寄って見下ろす山田に美世はたじろいだ。
「そ……そうか、口上としてはまぁまぁの出来や、ほなそれを証明したら考えたるわ」
「ホントですか!」
「お……おう」
 山田はガッツポーズをしながらコメツキバッタのようになっている。美世は両腕を組んでその様子を見ていた
(半分はお断りの返事やのに嬉しそうにしてるなぁ、人に好かれるのは気分がええ、でもウチはそんなに価値のある人間やないのに)
 この清純を絵に書いたような男が
自分の価値を高く評価している事に美世は一抹の劣等感を感じた。自分の中に湧いたどうにも扱いづらい気持ちを振り払うように問いかけた。
「はよ寝なしんどいやろ、明日の練習は何時からや」
「5時です」
「早いな、ほなオカンも大変やろ」
「いえ、母は仕事が不規則なので時間が合わずなかなか、朝は大体コンビニ弁当です、しばらく母の手料理は食べてません」
「あかんやろ、コンビニの弁当はうまい事考えられてるようやけどやっぱりアカンねん、お前も半分は関西人やったらわかるやろ」
「はい、どれも卒なく美味しいんですが、飽きました、正直自分から望んで食べたいと思う弁当はもうはありません、ただ黙々と摂取してるだけです」
「不憫やなぁ、スポーツすんなら朝飯は重要や、わかった、なんかええ朝飯食わせたるわ」
「はい?どういう意味ですか?」
「弁当作ったるゆうてんねん
4時半にここでええか?ついでに超特急で送ったるわ」
「マジですか!」
「おう」
「でもそんな朝早くから……」
「心配すな、半年前は毎日それぐらいに起きてた、最近ちょっとサボってたけどな」
お願いしてもいいんですか
「任せとけ」
 山田はまた全身でガッツポーズした。

 美世は閉店間近のデパートに立ち寄った。
(大きい弁当箱って家にあるかなぁ、バスケットはなんやし、わからんから買うとこ、どんなんがええやろか)
 美世が考えをめぐらながら歩いているうちに漆器の店の前を通りかかって足を止めた。ショーケースの中の輪島塗と書かれた札の横に善やお椀、お盆といった物が並んでいるがその中に重箱もある。
(あかんあかん、なんやこれいろんな意味で重すぎるやろ、やっぱりランチジャーか、今は夏や、そやかてサラリーマンのおっさんみたいなヤツはなぁ)
 結局美世は雑貨屋で三段重ねのトリコロールカラーのランチボックスと
ソフトクーラーを買った。クーラーボックスの中にランチボックスを入れてみてにんまりする。
「あの食欲や、これぐらい食いよるやろ」
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