だがおそらく……本当におそらくだが、盗賊は人類種ではなくオークやゴブリンに近い種類の魔物だとレイは考えていた。
もちろん盗賊は人間ではないなどと表立って言えば騒ぎが起きてしまうだろうから言うつもりはないのだが、
レイはこれまでの経験から彼らは人と呼ぶにはあまりにも……本当にあまりにも不自然な点が多いことを知っており、
彼らが少なくても人間ではなく、正体は魔物か何かだとはんば確信するに至ったのだ。
これは誰よりも盗賊と戦い続けた上に思慮深く冷静なレイだからこそ辿り着けたこの世の真実である。
これがもし他の冒険者……たとえばビューネだったら、何も考えずに戦い飯を食ってうんこを製造するだけだっただろう。
とにかく、奴らがゴブリンやオークのような魔物なのであれば、その繁殖能力の高さにも頷ける。
そこには人類には真似できない、魔物ならではの生命力があるのだ。
だからレイや他の冒険者にあいつらの真似をしろと言われても土台無理な話なのである。
「人間はゴブリンにはなれない……もっとも、オレの知る中にはゴブリンの涎と名乗っていた奴らもいたがな」
かつての一方的な蹂躙を思い出して気持ちがよくなったのか、レイはまた獰猛な笑みを浮かべた。