もうこの当たりの会話からして、こいつら貴族としてダメダメだろって思うんだが



「ローゼマイン、これから君が頼らなくてはならないのは婚約するヴィルフリートだが、今の君にとってヴィルフリートはどのような存在だ?」

「ヴィルフリート兄様ですか? うーん……。背もたれがない椅子ですね。座って一息つくことはできるけれど、寄り掛かることはできません」

 二年の間に成長したし、とても頑張っているとは思うけれど、寄り掛かれるような安心感はない、というわたしの所感に神官長が軽く片方の眉を上げた。

「確かに頼りないな。背もたれくらいは付くように教育せねばならぬ」

 神官長の教育を受けるヴィルフリートに心の中で「頑張れ」とエールを送りつつ、ハードルを上げる。

「できれば、肘掛が付くくらいの安心感が欲しいです」

「ふむ、考慮しておこう」

 ……ヴィルフリート兄様に合掌。