0910この名無しがすごい!
2018/07/03(火) 18:26:55.34ID:TBP506hN♪
「今日はなぜ来院なさったのですか?」
私は必死で訴えた。
「5ちゃんねるで、私以外の全員が私に敵意を持って、私をどうにかして傷つけてやろうとし
て虎視眈々とその機会を待っている気がするのです。これって私の妄想ですよね。自分でもそ
のことはわかっているのですが、不安になって仕方がないんです。先生、どうにかこの不安を
消す薬を処方して下さい」
「『ゴチャンネル』とは、一体なんですか?」
ああ、先生はご存じないのか。当たり前だな。しまった。私は自分の軽率さを恥じた。
「5ちゃんねるはネットの掲示板で、昔は『2ちゃんねる』でしたが、名前が変わりました。
『2ちゃんねる』という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか」
「ああ、2ちゃんねるね。知っていますよ。しかしあなた、最近あなたのような人は増えてい
ますが、ネットで白眼視されても、現実の世界で人と交流していれば、何の支障もないのでは
ありませんか?」
「わ、私もそう思うのですが……」
「結論を言います。あなたの症状に名前を付けるなら……」
♪
「現実に起きていることを妄想だと思い込む状態です」
え? 私はすぐに意味が飲み込めず、ぽかんとして口が半開きになった。
「ですから、あなたは皆から嫌われているのですよ。あなたは『皆で褒め合う』という、創作
文芸の暗黙のルールを破壊したでしょう。ルールの破壊者は忌み嫌われても仕方がない」
「な、なんで私が創作文芸に書き込んだことを……」
私ははっとして先生の前の机にある新聞を見た。そこには信じられないことが書いてあった。
「四季夜猫之氏、創作文芸でまた批判される」
おいおいおい! なんで俺の名前が新聞に?
私は新聞と先生の顔を交互に見た。何度か見たら、先生が言った。
「あそこは酷評禁止ですよ」
「でも、私が書き込んでいたのは元々『あなたの文章真面目に酷評します』というスレッドだ
ったんですよ?」
「酷評といいつつ出鱈目なことを書いて、難癖しかつけられない完璧な作品だと暗に伝えない
とダメでしょう?」
「か、完璧な作品なんて、私と他少数名しか投稿していませんよ!」
「そんな人間は必要ないのです。あなたは少し、言っていることが的確に過ぎた。死んでもら
おう」
医師は私が驚く間もなく、早業で腰からピストルを抜いた。そして私は眉間を撃たれた。
♪
「……はっ!」
私は目を醒ました。
そうだ、これを小説にしよう。
ワンピースやドラゴンボールのような真面目な話ならとにかく、こんな夢なら夢オチでもい
いのだからな。
また酷評されるだろうが、構わない。
ありのままに自然に書けば、小説を書くことは楽しいことなのだから。たとえつまらないも
のができても、知ったことか。