同じシーンでも無職の方がワクワクするな

無職
 目を開けた瞬間、真っ白い空間に俺はいた。
 何もない空間だ。すぐに夢だとわかった。
 明晰夢というやつだろうか。
〜〜
 ふと気づくと、変なやつがいた。
 のっぺりとした白い顔で、にこやかに笑っている。
 特徴は無い。こういう顔の部位だと認識すると、すぐに記憶から抜けていった。
 覚えることが出来ないのだ。そのせいか、まるで彼全体にモザイクが掛かっているような印象を請ける。
 ただ、穏やかそうな人物だと思った。


月夜
 目を開く。そこは神殿だった。
 しいて言うなら、パルテノン神殿に似ている。石造りの古びた白い神殿。
 現状分析をしよう。あの状況で助かるはずはない。だとするなら、さっきのは夢か?
〜〜
 白い髪で、同じく白い貫頭衣を着た女性が微笑む。いや髪と服だけじゃない、肌も瞳も何もかもが白い。
 何より美しい。ありとあらゆる要素が黄金比で作られたあまりにも完璧すぎて、人から逸脱した存在。
 なのに、このすべてを台無しにするフランクな口調はなんなのだろう。