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文字数をカウントすると2千文字弱で掌編としても短めの作品ですね。その尺に合った文章になっていると思います。
SSの基本となるアイデアはたった1つに絞り込んであり、ラストでスパッと落とすように書けていると思います。
例えば、主人公とヒロインについて、くどくどと描写したりせず、オチにつながるキャラの関係性に重点が置かれています。
(そういう双生児があり得るのかという疑問が生じるかもしれませんが、古い作品では手塚治虫のブラックジャックのピノコなどの先例がある。)

ただ、オチはもっと落差を持たせたり、伏線を置いて、後で「ああ、そういうことか」感を増幅する工夫の余地はありそうです。
ネタバレになりますが、ヒロインは以下のようなキャラですよね。

1. 男性主人公の生まれなかった双子の姉か妹である。
2. しかし、は超未熟児のまま、主人公の中で生命を保っている。
3. 主人公とともに精神的には成長している(女児は男児より早熟のため姉的になっても自然)。
4. (成長するせいか)そのままでは主人公を死に至らしめる。

1〜3により、主人公の夢の中だけで会えて、親近感もあるのは自然となります。そこもオチに直結しますから大事。
しかし、4もあるわけですね。御作だとヒロインが4を理解していない感じです。相変わらず優しく励ましている。
ですが、ヒロインが4を意識すると、ヒロインの態度を変化させて、読者の目を引けそうです。一本道で落とすか、揺らがせて落とすか、ですね。

ヒロインが「自分のせいで主人公が死ぬ」と悩むことになるからです。その変化を描写すると、ちょっと作品の雰囲気が変わります。
例えば以下のような感じにもできそうです(即席ですので練れていません、すみません)。

優しいヒロインと主人公の交友(夢)→ヒロインを探す主人公(現実)→自分を探すなと悲しげに拒絶し始めるヒロイン(夢)→原因不明の病で倒れる主人公(現実)
→何かを決意した表情で別れを告げるヒロイン(夢)→主人公は手術で助かるが親は病因を語らない(現実)→二度と現れないヒロイン(夢)
→主人公はバニシングツインという症例を知る(現実)→ヒロインの正体と一連の行動を悟る主人公(現実、または夢)

細かい点では情報の先出しや矛盾となり得る表現で、ちょっと損をしている点も散見されると思います。例えば以下のようなものです。

>  まるで姉のようだとさえ思った。
>  僕にはもともと、兄弟なんていないのに。

「兄弟」は男女の区別なく用いることもありますが(英語のsibling)、やはり男性を思い浮かべやすいかもしれません。
「僕は一人っ子なのに」などに変えると、すっとイメージしやすくなると思います。

>  僕の中に、本来生まれてくるはずだった、双子の姉か妹が見つかった。
>  そして今回のことで、取り除かれた。
> 「性別はわからないそうなんだがな」

「姉か妹」と言っておいてから、「性別はわからない」と続いているので違和感が生じます(主人公の確信が既にあるのは分かりますが)。
単に「双子が見つかった」とするほうが、(性別不詳という親の台詞と)スムーズになりやすいように思います。

もう少し大きな範囲では、

>  ――蓮れんくん。今日もおつかれさま。

より上の冒頭部分。上記の一行から始めたほうが、読者の目を引きやすいように思います。
原文だと、「不思議な子がいます」と説明しておいてから、その子が台詞で登場する感じです。
よく分かる構成なんですが、分かるために驚かなくなり、『あの子』に目を引き付ける効果が減じているようです。

「――」で始まる、内心とも思える台詞で始まると、「誰だろう?」感が生じやすいと思います。
疑問を感じたら知りたくなるのが人情でして、先を読み進めるモチベとなります。その疑問を半ばながら、予め解消するのは損のような気がします。
上記一行から読み始めても、不思議な子と夢でだけ会えることは充分に描けていると思います。

あれこれ貶しているようで大変申し訳ありません。最初に申し上げた通り、SSの基本はできています。
ただ、少し手を入れてみると、今のと違う見せ方、面白さも試せそう、とお伝えしたいだけですので、ご了解をお願いします。