>>18

ろくに読みもせずに不平を言ったにも関わらず、即座にご対応を頂きまして大変恐縮です。単純ミスだったのでしょうか。
せっかくのご対応ですので、読み進めてみました。が、第一部・第三話(2)までしか読み進めることができませんでした。
念のため、飛ばしてですが第七話(最終話、1〜3)も、ざっと目を通してみましたが、再び読むモチベとはなりませんでした。

どうもN2B細胞にまつわる話のようなんですが、舞台となる世界、小道具、大道具の説明ばかりが羅列されている感じなんです。
第一話(1)〜(3)の文章量は8000字以上、第二話(1)〜(2)が7700字、併せて原稿用紙換算で40枚分(1万6千字)です。
印象ですが、ほとんどが設定説明です。宇宙に広く進出していて、辺境の惑星で、現像機があって等々。
キャラは出てきていますが、キャラの背景の説明と、設定を会話で説明するためにいるかのようです。

イベントがないんです。かろうじて、第一話(4)の、浮かび上がった文字に触って主人公が気絶、がイベントになりそうでした。
しかし、展開はせずにそのまま伏線とされてしまっています。原稿用紙40枚もドラマがなく、準備説明では読むモチベが保てません。
作者さんは書いていて面白いとは思います。浮かんできたアイデアを設定まで煮詰め、イメージしたSF的な世界を描写するわけですから。
だけど、読者はただただ読むだけなんです。書いてある状況を思い浮かべ、オリジナルアイテムは想像し、かつ覚えます。

これは大変なんです。作者さんは、設定やアイテム、ガジェット等を考えるのは苦労したとは思います。
だけど絵で伝えるわけではないですよね。イラストを前提としない文章作品として創作されたはずです。
アイテムの名前や地の文、台詞から絵を思い浮かべるするのは読者です。読者の想像→創造となります。

大事なことなので繰り返しますが、文章から想起されたイメージは読者によるものであって、作者さんが思い浮かべたものとは別物です。
しかし、読者は作者さんの思い浮かべたものを追っかけようとします。己を虚しくして作者さんについていくわけですね。
でも、アイテム、ガジェット、世界が類推の難しいものになっています。見たこともないものを描こうとされているからですね。
(先行作品に類似がある気はしますが、どうも50年代〜60年代の感じ。それについては後述します。)

だけど、ドラマに使ってないようです。大事なのはN2B細胞だけ。詳述された公園とか、博物館とか、その原型となった太古の宇宙船とか、どうも使われていない。
見たこともないものを文章を頼りに一生懸命想像し、覚えてみたのに何の甲斐も無かった感じがしてしまいます。

見方を変えてみますと、SF的なシーンを楽しむという読み方も考えられます。作者さんはアシモフの「ファウンデーションシリーズ」はお好きのようですね。
文章やキャラの淡々とした感じからすると、光瀬龍の「たそがれに還る」も先行類似作のように思います。
どちらも、宇宙的・(当時の視点での)未来的なアイテムが盛りだくさんです。キャラやドラマ以外にそういうシーンの雰囲気も楽しまれたようです。

そうできたのも、50年代〜60年代だからです。ですが、今は2018年なんです。40年前にはスぺオペの「スターウォーズ」シリーズが始まった。
50年前には、宇宙・ハードSF的なシーンが「2001年宇宙の旅」で見応えのあるシーンが盛りだくさんでした。
日本の特撮が衰退するほどのものでした。それから延々とハリウッド含め、リアルな宇宙描写を映画やドラマで見せてくれて来たわけです。

御作を読んで、だいたい分かるのもそういう特撮を多数観て来たからであるわけです。もうSF的なシーンでは物足りません。
スターウォーズとて、初作(EP4)で見られた単に宇宙で派手に暴れるシーン頼りはもうやっていません。
CGなどで安く大量に作られるようになり、飽きられましたから(低予算の「エイリアン」初作みたな差別化がもう必要なくなった)。
(ファンタジー分野では、50年代の「指輪物語」と現代のファンタジーの差も同様のものがあったりする。)
(続く)