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使用お題→『ロリ』『戦車』『安価』『SF』『2ch』

【ラジオと戦車】(1/3)

 ラジオから流れる古い音楽。座席から伝わる振動。モニターに映る乾いた風景。
『退屈ねー』
 どこか平坦な女の声、合成音声。この車体、単座自動戦車の制御ユニット、そのつぶやき。
「退屈なのが一番だろ。つーかよ、お前らに『退屈』なんて感情があるのか?」
『あるわよー、失礼ね』
 彼女は人工知能や機械頭脳とは違う、らしい。
 生体ユニット。
 人間を元に作られた強化人間。軍用、車載用に調製されている。搭載された車両は、高度な作戦行動を無人で遂行できる。
「いつも思うんだが、お前らって、人間、だよな?」
『そうね』
 彼女らは、法律上は人間として扱われない。作られた当初は、それに関する議論もあったと聞くが。
「俺は、お前の顔を一度も見たことがないんだが。この座席の後ろに格納されてるんだよな?」
『そうね』
「窮屈じゃないのか?」
『全然』
 狭い空間に押し込む都合上、彼女らは人間の子供程度の大きさに作られ、そこから成長しない。
 年に一度、点検の時だけ外に出される。整備士の知人が言うには、すげー美少女、らしい。
『外は寒いし。カプセルの中の方が快適』
「そんなもんか」
 ロリ美少女が入っている小型戦車。通称ロリタンク、略してロリタンとも呼ばれる。
『そんなもんよ』
 俺は、そんなロリタンの搭乗員だ。